超ISO企業研究会

最新情報

メルマガ③ メンバーのつぶやき

活動報告 超ISOメンバーによるつぶやき 第2弾 第5回 松本 隆(その2)

2018.12.17

 

 

前回は、以下の1.~3.の当たり前で基本的な3項目の「つぶやき」をしましたが、

1.ISO 9001とTQM

2.ISO 9001と標準化

3.品質保証体系図

 

今回は、少し視点を変えて、以下の4.~6.の3項目に関して「つぶやき」ます。

4.ISO 9001の2015年改訂による規格の構造の変化

5.マネジメントシステムの審査とコンサルティングの関係

6.ISO 9001と小集団活動(QCサークル活動)

 

 

 

4.ISO 9001の2015年改訂による規格の構造の変化

 

ISO 9001の2015年改訂では,マネジメントシステム規格の共通テキスト“附属書SL”を採用したために,汎用的なコンポーネント型の規格になりました。

これは,“附属書SL”に沿って,全体的なPDCAを意識したせいだと考えられます。

 

そのため、例えば「品質目標」の場合,5章で枠組みを考え,6章で計画して,7章で支援して,8章で運営して,9章で評価して,10章で改善するというように項番のあちこちに飛んでしまい,つなげて考えるのが難しくなっています。

他の「リスク・機会への取組み」の実施項目も同様で、4章で利害関係者のニーズや期待を含む組織の状況(課題)を明確にし、それを踏まえて6章で取り組みの計画を立て、7章で文書化し、9章でそのパフォーマンスを評価し、その結果を10章で改善することが求められています。

 

従って,ISO 9001の項番に個々に対応した形での品質マネジメントシステムの構築はやりにくくなったと考えられます。

要は、規格の全体では包括的にPDCAは回るようになっていますが、個別のリスク・機会、品質方針・目標、顧客満足等のテーマへの取り組みは、規格の順序に沿った形では、縦断的に考えないと、やりにくくなったといえるでしょう。

 

そこで、「規格(ISO 9001:2015)の項番ありき」ではなく「QMSの有効性・パフォーマンスありき」で,品質保証の仕組み,リスク・機会への取り組み,品質目標等のQMSの大ぐくりの実施事項別に7つのアプローチに分解して,それぞれの中でPDCAを回すことが効果的だと私は考えています。

その「7つのアプローチ」を以下に示します。

 

1)品質保証の仕組みを作り,実行する

2)組織の状況を分析し,リスク・機会へ取組む

3)品質目標(業務目標)の有効性を高める

4)プロセスアプローチを行う

5)内部監査の有効性を高める

6)顧客満足を高める

7)総合的にパフォーマンスを高める

 

この7つのアプローチのそれぞれに7つの実施事項を考え,実施事項別に活用できるTQM関連の手法も対応づけ、この実施事項を進めることによって,QMSに関するPDCAが回り,その有効性・パフォーマンスが向上すると私は考えました。

その「7つのアプローチ」の詳細は紙面の関係で今回は省略します。

 

 

 

5.マネジメントシステムの審査とコンサルティングの関係

 

ISO 9001の審査においては、コンサルティングは出来ないとされています。

これに関連する規格としては、

JIS Q 17021-1:2015 (ISO/IEC 17021-1:2015)

適合性評価-マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項

があります。

 

その中に以下の規定があります。(下記の規格の抜粋中の<  >は私が施しました。)

 

*******************************

 用語及び定義 

3.3マネジメントシステムのコンサルティング(management system consultancy)

マネジメントシステムの確立,実施又は維持に関与すること。

例 1  <マニュアル又は手順>を,<準備又は作成>する。

例 2  マネジメントシステムの<開発及び実施>に向けての<固有の助言,指示又は解決策>を与える。

 

注記 1  教育・訓練が,マネジメントシステム又は審査に関係し,その内容が<一般的な情報に限られる>場合で,<教育・訓練を手配し,講師として参加>することは,コンサルティングとはみなさない。すなわち,講師は,依頼者個別の解決策を提供しない。

注記 2  プロセスやシステムの改善のための<一般的な情報>で,<依頼者特有の解決策>ではない情報の提供は,コンサルティングとはみなさない。

このような情報には,次を含む。

−  認証基準の意味及び意図の説明

− <改善の機会の特定>

−  関係する<理論,方法論,技術,又はツールの説明>

−  <機密情報でない>,関連する<ベストプラクティスの情報共有>

−  審査を受けるマネジメントシステムの範ちゅう(疇)にない,その他のマネジメントシステムの側面

*******************************

 

上記のうち、「注記 1 までは、この規格の2011年版(2007年制定)にも全く同一の文面で含まれており、「注記 2以降が2015年版で追加されました。

要は、以前から「マネジメントシステムのコンサルティング」というのは、限定的な意味合いでしたが、「注記2」によって、さらに限定的になったと考えられます。

逆に「コンサルティング」ができないと言われている審査員の自由度が増したと言えるでしょう。

 

 

 

6.ISO 9001と小集団活動(QCサークル活動)

 

「ISO 9001と、小集団活動(QCサークル活動)の関係はないのでは?」というのが、読者の皆様の大方のご感想ではないでしょうか?

確かに、ISO 9001には小集団活動に関する要求事項はありません。

 

しかし、ISO 9001:2015では、「10.1 一般(改善)」で、『c)品質マネジメントのパフォーマンス及び有効性の改善の取り組みの実施』を求めています。その「パフォーマンス及び有効性の改善」のツールとして、小集団活動(QCサークル活動)が大いに役に立ちます。

また、ISO 9001:2015が新たに要求している「7.1.6 組織の知識」として、小集団活動(QCサークル活動)における活動のノウハウや成果を、それと位置付けるのは好ましいと考えます。

 

ISO 9001の審査の場では、小集団活動(QCサークル活動)のことを取り上げる機会は少ないのですが、組織によっては、品質目標のテーマの一部の達成のためにQCサークル活動とリンクして、効果を上げていることがあります。

私が以前に勤務していた会社のQCサークル活動を推進する立場にいる時には、全社の業績に直結したテーマを各部門主導で決定し取り組むという「テーマ型QCサークル活動」を製造部門のQCサークル一斉に導入するというプロジェクトを担当しました。

これにより、サークルメンバー一人一人の力を結集して改善に挑戦し、会社の事業目標が達成でき、サークルメンバーの能力の発揮を実現することができました。

 

ところで、ISO 9001のシステム構築により、作業の手順が明確になって、「手順書通り作業しておけば良いし、改善してそれを変えることはまずい」というような傾向が出てきて、QCサークルが得意とする「改善」の意識がなくなってしまうのではという懸念がありました。

これに関連して、ISO 9001の認証取得は、QCサークル活動の活性化にはマイナス要因ではと、私自身も考えていました。

 

そこで、私の勤めていた会社で以前に、ISO9001取得後のある部門のQCサークルの推進者(現場の監督者)を対象に、その関係についてアンケート調査を実施したことがあります。(アンケートの文章は、「ISO 9001では、『決められた標準を、きちんと守ること』を要求されますが、そのことをあまり厳しく指示されると、『QCサークル活動によって、自分達で改善しよう』という意欲が低下する恐れも考えられますが、その点はどうですか?」)

その結果は、「QCサークルで良い方向に改善し、それをISO 9001で直ぐ標準化し、更にまた改善するので、その恐れはほとんどない。」といった意見が多く、安心したことがあります。

これは、PDCAとSDCAを交互に回すことであり、「標準化」は「固定化」ではないという点からは、当然といえるでしょう。

 

 

<最後に>

以上、2回にわたり、6つの項目に関するとりとめのない「つぶやき」を書き連ねましたが、もし、いささかなりとも読者の皆様の興味をひいたり、参考になれば、大変ありがたく思います。

最後までお読みいただいたことに感謝します。

 

(松本 隆)

一覧に戻る