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QMSの大誤解はここから始まる 第9回 ISO 9001に基づくシステム構築は品質部門の仕事です(2)   (2017-12-04)

2017.12.04

 

「QMSの大誤解はここから始まる」シリーズ、4つの目のテーマ、

「ISO 9001に基づくシステム構築は品質部門の仕事です」

について、今回はその後編です.

 

 

前回は、

 

筆者の知り合いで、中規模の組織の品質管理部門で働いている方の話を紹介し始めたところでした。

 

 

社長の指示に基づき、ISO9001の認証取得を目指して活動を開始し、無事認証取得にこぎつけたものの、

最近では,同社社長がISO 9001への興味を失くしたのか,マネジメントレビューに参加はしているが積極的な発言は見られなくなった.

このままではISO9001認証の維持もままならない,

どうやったら,ISO 9001の効果が発揮されるのか悩んでいる

 

という話から、

マネジメントシステム規格であるISO9001の意図、狙いに関する解説を始めさせていただきました。

 

 

今回は、その筆者の知り合いの話をもう少し続けるところから再開いたします。

 

(前回の内容を確認されたい方はこちらからどうぞ

 

 

 

 

知り合いの方には次に,

目的が明確でない社長命令に従い,ISO 9001について真剣に学びISO 9001認証取得に励んだ理由を聞いてみました.

その返答は以下のようなものでした。

 

 

問題と思っている「もぐら叩き」の体質を改善できれば,社長の期待に応え会社にも貢献できると思うと同時に,品質部門に対する社内の見方も少しは良くなることを期待した.

ISO 9001に対する認識は,社長と同様,組織改革の魔法の杖ぐらいの認識だった.

 

 

品質マネジメントシステムを理解するためにISO 9001規格を真剣に学習したということでしたが,継続的に顧客に受け入れられる製品・サービスを提供し続けるためのプロセスについて考えたのか,

という質問をしてみたところ彼の答えは,

 

 

特に考えていない.

TQMにおける新製品開発管理,プロセス保証や日常管理及び方針管理について耳にしたことがあるが,これに関する知識が無くともISO 9001を理解し認証をとるだけで効果が出ると思っていた.

品質マネジメントシステム文書を作成し,認証をとることで社内のすべての部門が品質部門の声を聴くようになると思っていた

 

 

ということでした.

 

世の中に,何かを達成しようと強く思わないで,自然に何かが達成されることはありません.

少なくとも何を達成したいかを認識した上で,多くの場合それを表明し,達成に向け持続的に努力しなければなりません.

組織においては,目標を全社員で共有し,経営者の強いリーダシップの下,全員参加で取り組むことで目標達成が可能になります.

 

又,継続的に顧客に受け入れられる製品・サービスを提供し続けるためのプロセスが,現場でどう運営されているかについて考えるのは非常に重要です.

ISO 9001のマネジメントシステムはプロセスアプローチを採用しています.

 

ということは,各プロセスのアウトプットの質は,次工程の要求,しいては顧客要求事項を満足しており,かつ常に一定に保たれていることが保証されているとの前提に立っています.

 

 

次に,ISO 9001マネジメントシステム構築について,少し詳しく聞いてみました.

 

彼の答えは,

 

 

マネジメントシステム文書を細心の注意を払い作成したので,文書を各プロセスの責任者に配布し,文書に従った運営を実施するよう指示しただけ

 

 

というものでした.

加えて,どのような内部監査を行っているか聞いたところ,想像通り,

 

 

ISO 9001への適合だけに焦点を当てた監査を続けている

 

 

とのことでした.

 

 

システム文書の作成とマネジメントシステムの構築は同じではありません.

マネジメントシステムの構築とは,システム文書の作成に加え,文書に従った運営の確立が不可欠です.

 

尚,ISO 9001マネジメントシステムは,最初にお話した通り,顧客に受け入れられる製品・サービスを提供し続けるためのシステムです.

 

ものつくりは現場,すなわちシステムの構成要素である各プロセスで行われています.

今現在作られている製品・サービスは,現場で蓄積された技術やノウハウを活用することでその品質が確保されています.

 

 

ISO 9001は,マネジメントシステムの目的を達成するために全社が一丸となって取り組むため,これらの現場の蓄積や強みの方向性を合わせ,それらを有効に活用するためのツールです.

 

 

会話が弾みだいぶ時間がたったところで,ISO 9001が有効に機能し,彼の念願である「ねずみ叩き」体質からの脱却を図るいい手はないか

と聞かれたことから,以下を推奨しました.

 

 

  1. 1. 社長と相談し,ISO 9001マネジメントシステムの目的を再確認し,表明する.
  2. 2. ISO 9001導入の目的を共有し,各プロセスの目標の調整や問題点の共有を図るための,ISO 9001有効活用に向けた委員会を発足させる.
  3. 3. 品質部門は,主にプロセス間の調整に専念すると共に.ISO 9001の要求事項及びシステム文書の説明を行い,それらを浸透させ現場の文書への反映を推進する.
  4. 4. 起こった問題に対しては,根本原因を追究し再発防止を図るためのシステムの改善につなげる.
  5. 5. システム改善の結果は,マネジメントレビューでトップに報告すると同時に,上記委員会で共有する.

 

 

 

上記5項目を実施することで,以下を達成することができます.

 

    • ・全員参加で運営するISO 9001を構築することが可能になる
    • ・起こった問題をシステム改善につなげることで,「ねずみ叩き」体質からの脱却できる
    • ・有効性に焦点を当てた内部監査が可能になる

 

 

これらを達成することで,社長のISO 9001に対する期待も今まで以上に膨らむことを望みながら,近いうちに再会することを約束して彼と別れたのでした.

 

(住本 守)

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