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QMSの大誤解はここから始まる 第4回 ISO9001の認証取得(維持)費用は高すぎる(1)   (2017-10-30)

2017.10.30

 

 

大誤解1の「ISO9001をやれば会社はよくなると関連して,「ISO9001の認証取得(維持)費用は高すぎる」という声も少なからず耳にします.

 

ISO9001に限らず,何か新しいことを会社の中で始めようとすればそれなりに手間と時間がかかるのは当たり前ですが,それにしてもこのような誤解を抱く方が多いというのは,その手間や時間に見合った“効果”が得られていない,または理解されていないということだろうと思います.

 

 

 

今回と次回では,「ISO9001の認証取得(維持)費用は高すぎる」という誤解に至ってしまう理由を,ISO9001認証取得の効果と費用の2つの側面から紐解いていきたいと思います.

 

 

 

まず第1回目は,ISO9001認証取得の効果についてです.

 

読者の皆さんもご存知のように,ISO9001には1)認証制度としてのISO9001と,2)品質保証+αに限定されたあるひとつのQMSモデルという特徴を有しています.

 

 

1)は,要は自社にISO9001に基づいたきちんとした品質保証体制があることを,自社が“うちはちゃんとしていますよ”と言うだけでなく,ISOの国際規格の要求事項に適合していることを、評価能力があると認められている第三者認証機関に認めてもらい,その認証をもって他者(自社の顧客や世間・社会,供給者など)に示すことです.

 

つまり,1)認証制度の特徴から得られる効果には,

 

 

(a)第三者機関による認証による,ビジネスを行う相手企業の評価を受け取引決定に至るコストの低減

 

(b)ISO9001認証取得企業であるということを外部公表にすることによる会社ブランド力への貢献

 

(c)ISO9001認証取得という“外圧”を利用して,品質保証体制を構築,推進する際に必要となる,会社内部の従業員に対する旗振り,モチベーション維持

 

 

などを挙げることができるでしょう.

 

 

 

近年は,一般企業にしろ,国営企業にしろISO9001の認証取得の有無が取引や入札の最低条件としていますが,それは主に(a)の効果によるものです.

また,工場の建物にISO9001認証取得という垂れ幕をかけたり,社員の名刺に印字したり,CMに流すのは,(b)の効果を狙っているといえます.

 

また,同じことであっても,現場の方にとって会社内部の品質管理部門の方から言われるのと,外部の人から言われるのでは反応が違うことを利用して,ISO9001の認証取得や維持審査を(c)の意味で積極活用する会社もあります.

現場近くや(外部のお客様も利用する)会議室の壁にISO9001認定証を飾るのは,(b)と(c)の両方の狙いがあります.

 

 

一方で,2)のQMSモデルとしての効果としては,

 

(d)決められたことをきちんと実施する(基本動作の徹底)ことによる,標準の不順守などによる不具合発生の低減と,再発防止によるコスト削減

 

(e)良いとわかっている手順(ベストプラクティス)が会社内で容易に共有化され,再利用されることによる,業務効率の向上

 

(f)顧客の要求事項を明確にし,それに適合した製品を提供しているかを常にチェック,レビューする品質保証体系が構築できることによる,顧客ニーズに合致した製品・サービスの安定的かつ確実な提供能力の獲得

 

 

などを挙げることができるでしょう.

不良発生原因の中には固有技術不足に起因する場合もありますが,ほとんどの場合は管理技術,すなわち手順や会社の仕組みに不備があることに起因して起こります.

これらの問題を解決するISO9001の効果が(d)です.

 

また,不具合発生という目に見える問題はわかりやすいですが,例えばA氏とB氏で同じ作業をそれぞれ1日と半日で無事に終えた場合(その作業効率は2倍のひらきがあります)のように,一見して不具合は発生していないが,多くの無駄が隠されている場合もあります.

このような無駄をなくし業務効率を改善する効果が(e)です.

さらに,最終的には顧客のニーズや仕様に合った製品ができなければ顧客に売れないわけですので,(f)の効果もとても大事になります.

 

 

ISO9001認証取得の効果(a)~(f)を紹介しましたが,(d)はある程度目に見えて評価しやすいですが,その他のほとんどの効果は定量的な評価が難しいかもしれません.

 

例えば,(a)の効果は頭では容易に理解できますが,ISO9001を認証取得していれば実際には掛からないコスト(機会損失コスト)になりますので,効果測定はそれほど簡単ではありません.

 

とはいっても,やはり目に見える把握しやすい効果のみにとらわれるのではなく,ISO9001の広く,深い(ただし,把握しにくい)効果にも注目すべきでしょう.

 

 

多くの会社の経営者は,ISO9001の認証制度の効果(a)と(b)については比較的理解していることが多いように思いますが(または,その効果を主目的にISO9001認証取得の指示を出しているかもしれませんが),QMSモデルの効果についても十分に理解してもらえるよう,品質管理部門から経営者へのより一層の働き掛けも重要だと思います.

 

(金子 雅明)

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