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メルマガ⑨ 本日から、品質部門配属になりました

本日から、品質部門配属になりました 第17回 『企画品質の保証』(その3)   (2020-09-14)

2020.09.14

6.製品・サービスの企画
最後の製品・サービス企画という活動の目的は,ずばり“顧客ニーズや期待に応えられる新製品・サービスのコンセプトの決定”です.このとき留意しなければならないことは,商品に付与しようとする特徴・特性が顧客・市場のどのようなニーズ・期待に応えるものであるか,その目的・手段関係を明確にすることです.製品・サービスは手段である,ということです.目的は,顧客・市場が,その製品・サービスの取得・使用・利活用によってニーズ・要求を満たすことです.
 
つまり,
6-1.顧客の要求品質の把握と重要度付け
6-2.顧客要求品質と製品の品質特性の関連の把握
6-3.製品品質の実現仕様の設定
 
という3つの活動を製品・サービスの企画において実施する必要があります.
 
6-1.顧客の要求品質の把握と重要度付け
開発しようとしている製品・サービスに対して市場・顧客が何を要求しているか,その中のどれを最も重視しているかを検討します.この際には,4-2で実施したニーズの詳細調査結果を用いて顧客ニーズを整理します(これを顧客の要求品質と呼んでいます).要求品質の重要度づけは,従来の同一機能の商品に対する苦情・クレーム件数,市場調査の分析結果,アンケート調査,開発関係者のブレーンストーミングによる得点づけなどによって行います.
 
6-2. 顧客要求品質と製品の品質特性の関連の把握
6-2では,顧客の要求品質を満たすためには,製品の仕様・スペック,すなわち品質特性をどのような値にすればよいかを決めなければなりません.例えば,書き味の良いボールペンという顧客ニーズに応えるために,それに関連するボールペンの軸の長さ,太さ,材質等,ボールペンの先のボールの形状や,紙との摩擦係数などの製品の品質特性の値を決めなくてはなりません.そのためには,そもそも顧客ニーズと品質特性の因果関係を理解しておく必要があります.この際,魅力的品質・当たり前品質など,品質特性の性格について考慮することもあります.
 
6-3. 製品品質の実現仕様の設定
6-3では,要求品質の重要度から算出した品質特性の重要度,品質特性の実現あるいは改善の困難さ,自社および競合他社商品の品質特性について分析し,開発する製品品質に関する製品全体としての目標・仕様を決定します.競合製品・サービスの分析にあたっては,同種類の製品・サービスだけでなく,同一機能を持つ,あるいは同様の価値を提供する他の製品・サービスについても調査・比較するとよいでしょう.
 
 
7.科学的に製品・サービスの企画を行うためのツール:QFD
製品企画・設計を科学的かつ体系的に行う有名なツールのひとつとして,QFD(Quality Function Deployment,品質機能展開)を紹介します.
QFDには品質の展開と,品質機能展開の二つの役割がありますが,とりわけ前者の品質の展開とは“顧客のニーズを製品の品質特性(の仕様)に落とし込むこと”を指します.この実施手順を大まかに整理すれば以下の1)~5)のようになります(カッコ内にその本質的な意味を書き込んでいます).
1)顧客の要求品質展開表の作成(真の顧客ニーズは何か)
2)重要要求品質の決定(競争優位の確立で満たすことが重要となる顧客ニーズは何か)
3)品質特性展開表の作成(製品・サービスが有すべき最終的な品質特性には何があるか)
4)品質表の作成(重要要求品質と品質特性との対応関係はどのようになっているか)
5)各品質特性で実現すべきスペック・仕様の決定(品質特性値をどのように設定すれば顧客ニーズを満たせるか)
 
まず1)は顧客の生の言語データに基づいて,顧客が求める真の要求(要求品質)を1次項目,2次項目と階層的に整理していく要求品質展開表を作成します.その本質的な意味は,真の顧客ニーズが何であるかを抜け漏れなく体系的に明らかにし,“要求品質の構造”の全貌を把握することです.
2)は,1)で整理した顧客のニーズの中でどれを重視すべきかを検討します.そのために,顧客自身がどのニーズを最も重要視しているかという視点と,競合との比較の視点の両方に基づいて自社が意思決定します.つまり,自社が市場環境において競争優位を獲得し維持するために満たすべき顧客ニーズを明確にすることに他なりません.
3)については,最終的に品質特性項目(機能・性能,信頼性,安全性,操作性,デザインなど)としてどのようなものがあるかを決めます.類似製品・サービスの場合は,過去の設計図を参考にして決めます.
4)がQFDの最も重要な特徴を有したところです.ここでは品質表を作成しますが,品質表とは縦軸に1)で作成した要求品質展開表,横軸に3)の品質特性展開表を並べたマトリックス表(二元表)です.縦軸の要求品質展開表で明らかになった各要求品質が,どの品質特性と関係しているかを◎,○,△などの記号で表現していきます.つまり,重要要求品質を実現するためにはどの品質特性を考慮すべきかを明らかにすることになります.
最後の5)では,4)で作成した品質表で示された要求品質と品質特性項目との対応関係と,品質特性値どうしのトレード・オフ関係を踏まえて,各品質特性項目において具体的な特性値を指定することになります.製品・サービスの企画とは,製品・サービスが有すべき品質特性値を決めることですので,このステップが開発・企画者にとって最も大事なところになります.
つまり,QFDでは要求品質展開表,品質特性展開表から成る品質表を作成することによって,顧客の要求品質と製品の品質特性の関係性を抜け漏れなく,根拠を以て検討し,決定できることにつながります.
(金子雅明)
 

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