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本日から、品質部門配属になりました 第15回 『企画品質の保証』(その1)   (2020-09-01)

2020.09.01

1.「B.4つの品質保証」の位置づけ
本シリーズの第1話において,品質保証をしていくためには,
 
A.品質保証体制:品質保証体制の構築・維持・改善
B.4つの品質保証:品質の4つの側面の保証
C.品質保証の全組織的活動:全組織的,部門横断的な活動
D.品質経営参謀:品質経営の推進における参謀的役割
 
の4種類の業務が必要であると説明し,この枠組みで順番に説明していくことにしています.
 
A項目は,品質保証のシステムと組織体制・構造を構築し,維持し,改善していくという業務でした.B項目は,品質の良い製品・サービスを提供するために,品質の4つの段階,すなわち,企画,設計・開発,量産,市場の4つの側面の品質が良くなければならないという考え方を基礎とするものです.
また,C項目は,B項目で示す企画,設計・開発,量産,市場での品質保証に加え,全組織的,部門横断的な活動に関することでした.例えば,品質会議,品質監査(製品監査+システム監査),重要品質問題対応,組織的品質改善活動などがあります.D項目は,品質経営,品質中心経営の推進における参謀としての経営機能です.
 
このように,品質保証業務の全貌にはA~D項目があるのですが,これまでにA.品質保証体系について品質保証体系,品質情報システム,社内への標準化推進の3テーマを取り上げて解説を終了し,本日からB項目の「4つの品質保証」に移りたいと思います.
 
2.「B.4つの品質保証」とは
繰り返しになりますが,B項目の「4つの品質保証」の“4つ”とは,企画,設計・開発,量産,市場の4側面・段階を指しています.これに対応してB項目をさらに展開しますと,
 
B1.企画品質の保証:顧客ニーズ → 製品・サービス企画
B2.設計・開発品質の保証:企画 → 製品・サービス仕様(+プロセス仕様)
B3.量産品質の保証:製品・サービス仕様 → 製品・サービス
B4.市場品質の保証:製品・サービスの使用・利用時
 
となります.
 
B1の企画品質とは,顧客ニーズが製品・サービスの企画にどのくらい反映されているかどうかに関する品質レベルです.製品・サービス企画で明確にされる製品・サービスのコンセプトが,顧客のニーズ・期待に応えるものになっているかどうかの程度を表します.2番目の側面であるB2の設計・開発品質とは,その製品・サービス企画,あるいは製品・サービスのコンセプトが,どのくらいその製品・サービスの実現仕様に反映されているかを問題にしています.なお,この設計・開発には,製品・サービスそのものの特性の指定(製品・サービス仕様)のみならず,それらの製品・サービスを現実に製造し,サービス提供するプロセスの仕様を決定することも含めます.
3番目の側面はB3の量産品質です.これは,製品・サービス仕様通りの製品・サービスが製造,実現されたかどうかを問いています.いわゆる「製造品質」とか「適合品質」と言われるものです.最後の側面であるB4の市場品質とは,製品・サービスが顧客に提供され,それを使用・利用する際の品質という意味です.製品・サービスの機能・性能の時間的関数である耐久性,使いやすさ,保守性,安全性,運用支援,修理・点検等のアフターサービスや廃棄,及びそれらを包含したライフサイクルコストなど,結果として顧客が当該の製品・サービスに期待した価値が得られたかどうかを問題にしています.
 
言い換えれば,顧客ニーズを的確に対応した“売れる”新製品・サービスの開発コンセプトを立案し(企画品質),その開発コンセプトを具現化するための手段としての製品・サービスの設計図に確実に反映し(設計・開発品質),またその設計図通りに製造・実現して(量産品質),市場で顧客に提供した製品・サービスを適切に使用・利用してもらうことで,結果として顧客がその製品・サービスに期待した効果を確実に実感してもらう,というわけです.
 
これらB1~B4を今回から順に説明していきます.まずは,B1項目の「企画品質の保証」について,本日から4回に分けて解説いたします.
 
3. B1.企画品質の保証のための活動
企画品質とは製品・サービスの実現仕様が顧客ニーズ・期待に合致している程度でありますから,その合致度合いが高ければ企画品質が良い,または高いということになります.つまり,企画の目的は,「顧客が求める製品・サービスの明確化」に尽きます.そのために,
 
(1)市場調査・分析
(2)研究開発
(3)製品企画
 
の3つの活動を行うことになります.ざっくり言えば,(1)の市場調査・ 分析の目的は,顧客の要望・ニーズを把握することです.(2)の研究開発は,顧客の中長期的なニーズやその変化・トレンドを踏まえて,将来的に必要となる技術を特定し,それをあらかじめ開発していくことです.長いと,数10年かかる場合もあります.(3)の製品企画とは,(1)の市場調査・分析結果と(2)研究開発結果をうまく組み合わせて(マッチング)させます.顧客がこんなものを欲しがっているよというニーズと,自社はこんな製品・サービスを実現する能力・技術を持っているということからこんなこともできるよというシーズがあり,ではこんな新製品・サービスを作って売ることにしようよというように,ニーズとシーズのマッチングを行うことです.以下では,これら3つの活動についてそれぞれ説明していきます.
(金子雅明)

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