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TQM/品質管理 こんな誤解をしていませんか? 第43回『標準化をしっかりしてみんなで守っているから日常管理はばっちりです。 』(その3)  (2020-3-2)

2020.03.02

 
日常管理は、サイクルをしっかり回すことが大事で、そのために3つのポイントがあって、これまでに、その二つのポイントの話をしました。今回は、三つ目です。 
 
4.  日常管理のPDCAをうまく回すための三つ目のポイント 
 
■B社(広告代理店)の事例 
これは、A社とはまた別の会社の話です。B社(広告代理店)は、3年前にISO9001の認証を取得しました。ISO9001のQMSの中には「プロセスアプローチ」があるので、これをうまく使ってそれぞれの部門・部署の業務のねらいと、これを達成するための業務手順と、管理するための管理項目・基準も作ってしっかりと計画をしました。 
しかしながらいざ運用をはじめたら、PDCAサイクルが全然回りませんでした。第1回で説明した、「P1(目的、目標、ねらいの明確化)」もきちんと設定しています。ところが、プロセスの監視項目とした情報が挙がってこないからなのです。決めてもその情報が集まらないのでは、PDCAサイクルも回るはずありません。 
その理由は、“業務を改善することは、人を責めるのではなくて、自分の仕事をもっとやりやすくするためだ”という意識がない、もっと言うと、そのようなネガティブな情報を抵抗なくコミュニケーションが出来る企業風土がなかったからなのです。 
三つ目のポイントは、そんな、「Check(チェック)→Act(処置)」の活動を積極的に進められる仕掛け・働きかけの重要性についてです。 
 
■B社の仕掛け 
広告代理店であるB社は、作った広告用のチラシや、依頼されたホームページの中に潜む不備や顧客の不満がなかなか顕在化しにくく、潜在してしまうのがこれまででした。ISO9001のプロセスアプローチは、うまく使えば「日常管理」をしっかりできます。そんな意図で、営業及び制作のプロセスの監視項目として、自分たちが提供した成果物の不備や不満事項、また社内で発生した不具合・失敗の情報を吸い上げて、これ契機として自分たちの仕事の質を上げて、結果として経営成果につながるようにしました。ところが、前記のように、この情報が挙がって来ないのですから、日常管理のPDCAサイクルは絵に描いた餅になりました。 
そこではじめたのが、“なんでも言える風土作り”でした。毎朝20分をコミュニケーションの場と決めて、ここで個人個人の考えを述べる習慣を付け、「クレドの木」というコミュニケーションツールを導入するとか、毎月1回テーマを設定してその解決策を考えるワークショップを行うなどを1年間継続的に実施しました。その結果、改善を積極的に行える企業風土が徐々に出来上がりつつあり、自分たちで改善テーマを挙げて、これを進めて行く活動も出始めて、実際の経営効果も出てくるようになりました。 
 
■改善提案制度の留意点 
さて、こんな事例を聞いてみて、多くの方が思い起こしたのが、QCサークルに代表される小集団活動とか、その中で実施されている改善提案制度でしょう。 
この改善提案制度は、現場の人々が、自分たちの仕事のやり方の問題点を探し出して、自主的に改善提案をするのが基本です。この活動の真のねらいは、改善がよどむことなく常に行われて行くことによって、組織の活性化を図っていくことです。 
従って、少数の成果の大きな改善が行われることよりも、むしろ1件1件の成果の大きさは小さくとも、現状の作業・業務の実態をよく把握して、ここを改善すると結果としてこんなことがよくなるということ、すなわち自分たちのやっている作業・業務の目的やその影響を考える回数を多くして、習慣づけをすることが肝心なのです。 
 
■改善活動の重要性 
作業をする人は完璧ではありません。技術も日々進歩します。したがって今ある作業標準書はもっともっとよい標準に改訂されていかなければなりません。標準に問題がある場合、あるいは改善の余地がある場合はそれを速やかに検討し、標準の改訂に結びつける仕組みを確立しておくことが必要です。 
そしてこの仕組みを運用することが、人々の意欲の向上につながり、なによりも「正しい事を決め、共有し、それを守って、レベルの高い仕事をする」という、組織の価値観や文化の醸成をもたらすのです。 
 
「Check(チェック)→Act(処置)」の活動を積極的に進められる企業風土の醸成が、三つ目の大事なポイントでもあるのです。 
 
 
(丸山 昇) 

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