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TQM/品質管理 こんな誤解をしていませんか? 第42回『標準化をしっかりしてみんなで守っているから日常管理はばっちりです。 』(その2)  (2020-2-25)

2020.02.25

 
日常管理は、サイクルをしっかり回すことが大事で、そのために3つの理由があって、その一つ目の話をしました。今回は、二つ目の話です。 
 
3.  日常管理のPDCAをうまく回すための二つ目のポイント 
 
■「P2:目的達成のための手段・方法の決定」→「D1:実施準備・整備」の重要性 
A社ではこんな話を聞きました。“不良品を流出させてしまって、お客様からおしかりを受けた。原因は、今年の春に入った新人の作業ミスだった”とか、“間違いミスをしてしまった。よりにもよってベテラン社員だった。こんなこともあるもんだ”  
また、A社では、作業環境の整理・整頓の悪さや準備の不備から来る“異品の混入間違い”や、“異物の混入”なども時々発生しています。 
第1回目のJ社のPDCAを振り返ってみましょう。これらは、みな「D」(実施)の中の特に「D1:実施準備・整備」、さらには、この元となっている「P2:目的達成のための手段・方法の決定(標準化)」の問題なのです。この重要性を今回は取りあげます。 
 
■業務をプロセスとして考える 
ここでは、まずは、業務をプロセスとして考えてみましょう。
プロセスとは何か、これを端的に言うと、“インプットをアウトプットに変換する一連の活動”のことです。前回のJ社の例で言うと、製造部門の業務は、供給された材料や製造の指示情報などを「インプット」して、一連の製造「活動」を行うことにより、要求仕様通りの製品を「アウトプット」するプロセスと言えます。 
そしてこのプロセスの活動を行うためには、人、設備、材料、技術、知識などの「リソース」を使います。またそれだけではなく、これらの活動の状況を把握して、所望のアウトプットを得るための「監視・測定、管理・制御」も行います。製造工程の中では、機械の状況を監視し、中間品の“できばえ”を測定し、その結果に応じて製造工程の制御や管理を行います。このようにプロセスは、活動とリソースと監視・測定の要素で構成されています。 
こうやって一連の活動(業務)をプロセスとして見なすと、望ましい結果を得るために何をすべきか、ということが、非常に論理的に考察することができるようになります。 
このようにして、一連の業務をプロセスとしてとらえ、それぞれのプロセス要素を明確にしてこれを管理していくことを「プロセス管理」と言います。そしてこのプロセスをどのくらいの大きさでとらえるかということも、プロセス管理を効果的に運用するためのポイントのひとつでもあるのです。 
 
■標準化の内容と準備 
期待するアウトプットを生み出すための質のよい仕事をするためには「標準化」、すなわち、プロセスの要素となっている活動をどのように実施するか、そのよい方法を規定する作業・業務標準を作成することが、効率的・効果的な日常管理を実施するためのキーポイントとなってきます。 
それでは作業・業務標準の内容としては、どんなものを記述すればよいのかというと、基本的にはプロセス要素のすべてが標準化の対象となります。前記の「活動」、「リソース」、「監視・測定、管理・制御」のすべてです。これを考慮すると、製造業の場合の作業標準には、以下のような事項を含めて、品質目標に適合させるためのすべてのものが記述されるとよいでしょう。 
 
・作業・業務の目的、作業対象物、使用材料・部品の指定 
・作業・業務の手順・方法(狭い意味での作業標準) 
・作業・業務従事者(必要な資格、能力を含む) 
・作業・業務の場所や時期 
・使用する設備、治工具、金型、補助材料など 
・品質基準とその計測、判定基準 
・品質及び安全上の留意事項 
・異常発生時の処置方法 
 
そうなのです。第1回目で、A社の作業手順書は、作業の順番を詳細に書かれていただけのものであった、と言いました。ここにあるように、本来作業を実施するために必要な準備事項も標準化されている必要があり、これに基づき、準備・整備されていなければならないのです。 
 
■効果的な標準化方法 
しかしながら多くの製造会社は、多品種の(場合により何千種類の)製品を扱っており、現実的には、全種類の標準書を作成するのは大変であり、使用する側も勝手がよくありません。そこで特におすすめしたいのが、2種類の作業標準を棲み分けて作る方法です。 
ひとつは、例えば、作業の順番とか、使用する材料・部品の種類やその組合せなど、製品の種類別に違う指示情報を記述したものや、装置・機械別の操作方法などの標準です。 
もう一つは、製品の種類にかかわらず共通な作業要素ごとのいわゆる「コツ」を標準化したものです。例えば、組立作業の例でいうと、接着剤、ネジ合、溶着、仕上げ研磨のような要素作業を考えるとよいでしょう。 
J社では、前者のような標準はベテランでも必要なものであり、作業台の上や機械に製品別の対応表を貼り付けてあり、必要に応じて現物見本を現場に掲示しています。 
後者は、ベテランには不要ですが、その作業につく前にはスキルとして訓練が必要となるので、ベテランによる指導カリキュラムを設定してこれを行っています。また、重要な作業については、ベテランによる社内資格認定制度を設けてあります。 
 
■効果的な教育訓練の実施 
さて、どんなによい作業・業務標準がたくさん出来上がっても、それが遵守されなければ”絵に描いた餅”です。これが守られるためには、当然ながら、まずは教え、それが身につくように訓練がされなければならないのですが、これもただやればよいというものではありません。肝心なことは「何のために」「なぜそうしなければならないのか」という、その作業の目的とその根拠をしっかりと理解させることです。 
J社では、このためには、訓練をする時には正しい作業方法をただ教えるだけでなく、やらせて見て、その結果をみながら、それがどんなときには、どんな影響が製品に及ぼすのかを、不良の見本や写真、時には動画などを利用して、教え込むようにしています。また、当該作業に関連する過去のトラブル履歴を整理しておいて、これを参照しながら訓練もしています。そのように考えると、作業標準書そのものに過去の失敗事例が記述されていると理想的ですが、少なくとも作業標準の改訂箇所と改訂理由を確実に記録しておくことによりにその情報を得ることも出来るでしょう。また、職場ごとに過去の失敗事例を1ヶ月に1回とか定期的に確認をすることも有効でしょう。 
今回は、「P2:目的達成のための手段・方法の決定」→「D1:実施準備・整備」について、特に重要な教育訓練を取りあげて説明をしましたが、その他の設備、測定機器、作業環境、原材料・部品などの準備が同じように標準化され、これに従って確実に準備されることが重要なのです。 
 
 
(丸山 昇)

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