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TQM/品質管理 こんな誤解をしていませんか? 第19回『標準化・文書化ばかりやってると,マニュアル人間ができて本当に困るよ』(その2)  (2019-9-10)

2019.09.09

 
第一回目では、標準、標準化の現状把握のもと標準、標準化の狙い、目的、及び得られる効果などを考察しました。 第二回目では、現在、各方面で多様化、複雑化が進んでいる変化の時代と言われるような社会における標準、標準化の在り方について考察したいと思います。 
最初に、第一回目で考察した“標準、標準化の狙い、目的、及び結果として得られる効果”を要約すると次のようなものになります。 
 
・共通基準に基づく統一と互換性、共通の価値観 
-各種製品、サービスなど多様化の時代、国内外において同一仕様化、統一による接続互換性 
 
・品質/性能の確保 
-ISO9001, 強制法規などの要求事項の順守に基づく品質等の確保と大量生産 
 
・安全/安心の確保 
-社会的責任を含め組織としての現状基盤を標準・基準と照らし継続的に改善 
 
・業務効率の向上(コストダウン、共通化による作業効率) 
-現状と標準・基準とのギャップを解決し、継続的改善による作業効率の向上 
 
・相互理解の向上 
-標準に基づき世の中の水準を知ると共に自身のポジションを認識、次への目標設定へ展開 
 
・技術力の蓄積・向上 
-固有技術等の技術基盤の蓄積と次の開発への方向性 
 
・改善、創造性の基盤 
-客観的な現状把握に基づく次の創造活動への効果的なリソースの集中 
 
このような標準、標準化の目的、効果などの本質は変わらないと思いますが、現在は、成熟した社会、各種ニーズの多様化、複雑化など今までにない変化の激しい時代であります。このような現況における標準、標準化の在り方、取り組み方については当然、課題、注意点などあるはずであり、これらにつき一部考察を行います。 
 
■現状社会における標準・標準化に関する考察  
 
1. 標準・規則は守るものの原則; 
 
現在の社会、取り巻かれている環境を見た時、個人の自由の尊重、色々なものの多様化、複雑化など各種要因があるのでしょうが、最近は決められた標準・規則は守るものだと言う原則が希薄になり、“皆で渡ればこわくない的な風潮”が随所で見受けられるように思います。 
 
・交通ルールの順守(交差点における赤信号での進入、注意黄色信号の順守など) 
・電車等での優待席、携帯電話のマナーモード化 
・組織不祥事など実態と標準・規則とのかい離(言わば、本音と建前の使い分け)、など 
 
標準、規則を守らないことを認めた、認めることが多くなった運用を許せば、上述した“統一性の観点から共通基準を定め出発点とすること”の言わば、標準、規則の目的の意味を失うことは明らかであり、更に得られる共有化できるはずの価値そのもの(統一による混乱の回避)を失う状況に向かっているのではないでしょうか。標準・規則の原点に戻り決めた標準・規則は順守すると言う姿勢、文化の一層の醸成が不可欠でしょう。 
 
2.標準・規則と活動実態の一体性とバランス; 
 
上記1で標準、規則が守られていない状況を見た時、標準・規則を遵守すべき側の問題が多く見られますが、一方で、決めた標準・規則が現状の活動等の実態、現実とかけ離れていること、あるべき論になりすぎ合理的に見ても厳しすぎることなどが原因になっている場合も見受けられるように思います。例えば、上述の“電車等での優待席取り扱い、携帯電話のマナーモード化の順守”なども、ここで個別事項の良し悪しを議論するつもりはありませんが、ここで述べたような意図に戻った標準、規則と活動実態との一体性とバランスに基づく見方が重要となります。また、最近は、世の中の変化への即応性、複雑化などが顕著なため標準・規則がタイムリーに変更追従しきれず、乖離が生じているケースも多く見られます。 
変化への対応の中でタイムリーに現状の標準・規則と現場の活動実態を適切に評価、判断して見直す仕組み作りとその適用の実践が必要でしょう。特に社内標準等ではこれらの仕組みが形骸化、陳腐化しないような標準化の枠組み作りと運用がキーと言えるでしょう。 
 
3. 一層の変化と価値観の多様化への対応; 
 
振り返れば、1980年代後半に、「決めた方が良い標準」の代表ともいえるISO9001シリーズが日本の市場にデビューしました。当時は、製造主体のISO9002、設計・開発を含むISO9001が存在し、初期の段階では、特に設計・開発に関しては、言わば、枠をはめる標準・基準化は組織活動の自主性、多様性、独創性を阻害するとの議論も多くありました。約35年経過した今、この標準は、設計・開発はもちろん、サービス提供など多様な分野においても価値提供を行い、むしろ組織戦略としても重要性が認識されるようになっています。 
現在、成熟した社会、各種ニーズの多様化など一層の変化の時代であるからこそ、標準、標準化の本来の目的・狙いを忘れず原点に戻った活用・運用が必要となっています。 
一方でこの多様化、複雑化、変化の中、組織等の業態、環境などの状況は異なっており、特に、社内標準等においては、標準・標準化の活用の狙いを明確にして、画一的にならないよう組織の強み、弱みなどの独自性を発揮したメリハリのある目的志向の活用・運用が重要と言えるでしょう。 
この目的志向に繋げるためには、常日頃の問題意識、改善意識、管理意識を醸成し、特に出発点とも言える問題意識に着眼して行きたいものです。 
 
成熟した社会、各種ニーズの多様化、複雑化など変化のなか、標準、標準化の目的、効果などの本質の理解を深める共に、そのプラスとマイナスの両側面に目を向けた考え方に基づき適用したいものです。 
 
 
(小原愼一郎)

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