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メルマガ⑧ TQM/品質管理 こんな誤解をしていませんか?

TQM/品質管理 こんな誤解をしていませんか? 第15回『プロセスが大事だって? 世の中は「結果」がすべてだ!』(その2)  (2019-8-5)

2019.08.05

 
前回のメールマガジンでは、結果を管理することも大切ですが、結果でプロセスを管理する取組みに軸足を据えるのが良い結果を生むために大切であると述べました。 
アメリカの大リーグで安打数など数々の記録を打ち立てたイチロー選手は、どうやってヒットを打ったのかが問題で、たまたま出たヒットでは何も得られないと語ったそうです。この言葉は、結果を生んだ行き方に目を当てているように思えます。 
 
良い結果を得るには、結果を生み出すプロセスに着眼するのが肝心です。 
今回のメールマガジンでは、良い結果を生むプロセスの重要性について考えます。 
 
JIS Q 9000:2015でプロセスは「インプットを使用して意図した結果を生み出す、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動。」と定義されました。 
プロセスは、人、設備・機械、材料・部品、作業方法・技術・ノウハウ、資金などの経営資源を活かし、インプットに対してある価値を付加する活動と捉えられ、製品・サービスなどのアウトプットを作り出す源泉と言えます。 
 
プロセス管理(または、工程管理、プロセスコントロール)と言う品質管理で重要視する考え方があります。
日本品質管理学会が発行した品質管理用語では、プロセス管理を「プロセスの結果である製品・サービスの特性のばらつきを低減し、維持向上する活動。」と定義しています。 
 
プロセス管理に当たって次の事項の明確化に留意してください。 
 
‒ 結果を生む一連のプロセス。 
‒ プロセスの各段階でのインプットとアウトプット、並びに作りこまなければならない品質(例えば、品質特性、規格値など)。 
‒ 品質を確保するためにプロセスの各段階で、誰が、いつ、どこで、何を、どのように行ったらよいか。 
‒ 個々のプロセスが安定しているかどうかを判定するための管理項目と管理水準。 
 
プロセス管理では、検査などの結果のみを追うのではなく、プロセス、いわゆる仕事のやり方や仕組みに着目し、これを管理し、仕事のやり方や仕組みを向上していくという、プロセス指向に基づく活動が肝要です。 
 
結果を生み出すプロセスにかかわる要因に焦点を当てると、代表的な要因として4M(Man、Machine、Material、Method)などが挙げられます。通常、これらの要因はプロセスにおいて複雑に絡み合って相互に影響しあい、またプロセスの変更や変化などに伴い、各要因を常に一定に保つのは困難です。 
このような状況のもとでプロセスの結果を評価する何らかの特性(例えば、寸法、重量、強度、硬度、純度など)を決めてデータ・事実で実態を把握し、特性の傾向を見ることや規格と対比することなどによって、プロセスが正常かどうか、品質が適合かどうかを判定することになります。 
正常で適合と判定されれば、現状のプロセスを維持できます。 
 
一方、異常や不適合と判定されれば、プロセスを止める、検出された不適合を除去する処置をとるなど、規定された応急処置が必要になります。同時になぜ異常や不適合が発生したのかの原因を調査・分析し、再発防止処置を盛り込んだ標準を制定または改訂しなければなりません。 
そして、作業者の教育・訓練などで標準に則った仕事ができるようにしたうえでプロセスを管理し、期する品質の実現に臨みます。 
これらの行動が、プロセスで品質を作りこむための自然な取組みになります。 
 
昨今、検査データの改ざんと言う品質不祥事が報道され、社会的な不安を誘発しました。 
不適合にもかかわらず適合にしてしまう検査データの改ざん行為は、結果を管理する行動から大きく逸脱してしまいます。 
これのみならず、不適合を再発防止するためのプロセスへ見直す行動にも取り掛かれず、結果でプロセスを管理する視点からプロセスを正していくことには到底至りません。 
行きつくところは、意図しない異常や不適合を生み出し続ける負のプロセスに陥ってしまいます。 
 
プロセスの結果は様々な要因によってばらつくのが普通です。しかし、プロセスやその結果に影響する要因のすべてを管理することは不可能に近く、経済的な負荷も無視できません。 
そのため、標準を守らなかった、原材料が変わった、設備性能が低下したなど、結果に与える影響が大きく、安定した結果を得るうえで見逃してはならないと考えられる要因を管理の対象に取り上げるのが合理的です。 
一方、結果に与える影響が小さく、技術的・経済的に突き止めて取り除くことが困難または意味のないと考えられる要因は、管理の対象から外す決断をします。 
 
プロセスにおける管理の対象に取り上げた要因に対しては、組織のもっとも優れた方法を標準として定め、これに則って行動することで効率的に意図した業務遂行が促されます。 
特に、異常や不適合を検出した場合は、直ちにプロセスを調査し、その原因を取り除き再発防止する標準化への取組みが要になります。 
なお、異常はプロセスが技術的・経済的に好ましい水準における安定状態にないことを言い、製品・サービス、プロセス、システムが規定要求事項を満たしていない不適合と明確な区別を要します。 
 
結果でプロセスを管理するには、結果に影響する要因を適切に選ぶことが要諦です。 
良いプロセスとは、プロセス至上主義に固執することや無視し得る細目のすべてを標準化することではなく、良い結果を生み出すうえで丁度よい程度に整備されたプロセスであることが不可欠です。 
結果に影響を与える要因は何かという点から精査し、影響の大きな要因は見逃さず、影響の小さい要因は取り上げない見極めが実務面では大切になります。 
 
プロセスをきちんと管理しても、常に満足な結果が得られるとは限りません。 
しかし、だからと言って、このことがプロセスを軽視してよいという根拠になっているわけではありません。 
100%ではありませんが、良い結果が得られる可能性を高めるために、要因系に注目し、プロセスを管理するのです。 
そして、良い結果が得られる可能性をより高めるために、プロセスを改善し続けるのです。 
 
顧客・社会のニーズ・期待の変化に適応する製品・サービスを生み出し続けるには、プロセスを良くする時宜を得た見直しが欠かせず、良い結果を生むプロセスにするための維持向上、改善または革新を絶えることなく繰り返すことが必須となります。 
 
今回のメールマガジンでは、良い結果を生み出すプロセスの重要性について思い巡らしました。 
決して、「結果さえ良ければ、めでたし、めでたし」、「途中の経過や失敗は水に流そう」など、結果が出れば何をしてもよいという主張を是認しないよう心掛けてください。 
 
 
(村川賢司)

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