超ISO企業研究会

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メルマガ⑥ QMSの大誤解はここから始まる

新シリーズ 「ISO9001に基づくQMSの“大誤解”はここから始まる」

2017.10.09

 

今回より、新しいシリーズがスタートです。

題して、「ISO9001に基づくQMSの“大誤解”はここから始まる」

 

少々刺激的なタイトルですが、ISO9001の認証取得をされている方々、そして場合によっては、審査をされている方々、コンサルティングをされている方々にもお届けできるメッセージになるのではないか、と考えて執筆を開始しております。今回から20回程度をメドに書き進めてまいりますので、毎回の配信、楽しみにお待ちいただければと思います。

 

 

第1回は「はじめに」です。

 

 

ISO9001:2015が発行されてから早くも2年が過ぎました。

IAF(International Accreditation Forum : 国際認定機関フォーラム)からは、移行は2015年9月からの3年間のガイドが出されていますので、2018年8月には移行期間が終了し、旧規格2008年版は廃止となります。

この2年間にISO9001:2008規格から2015年版への移行審査が進んでいますが、その認証審査の実態を見聞するほどにISO9001に基づく品質マネジメントシステムについて、多くの誤解が世の中にあることを痛切に感じます。

 

超ISO企業研究会では、多くの誤解と思われる案件をメンバーで議論し、その中から代表的な誤解を取り上げて、改めて規格の意図を世の中に訴えたいという趣旨で「ISO9001大誤解シリーズ」と銘打ったメルマガを発信していきます。

 

 

ISO(International Organization for Standardization : 国際標準化機構)は1928年ジュネーブにNGOとして創立されて以来、世界の人々が工業製品、サービスなどの使用において不便が起きないことを目的に、これまで約20,000件の規格を発行してきた国際機関です。

JIS規格の発行数が約10,000件であることを知ると、ISOがいかに多岐にわたった活動をしてきたかが理解できます。

ISOの創設は、1918年に収束した第一次世界大戦の反省に基づくもので、世界の平和の継続的な維持には人と物の交流が必要である、という思想が強く流れています。

戦後はISAからISOと名前を変えてより充実した活動を行っていますが、1995年にWTOのTBT(Technical Barrier on Trade:貿易における技術的障壁)協定の基準の一つに指定されたことにより世界にこれまで以上に知られることになりました。

 

ISOは1987年に従来とは異なる概念の規格、ISO9001(同時にISO9002、ISO9003)を発行しました。

それがマネジメントシステム規格です。それまでは、製品(サービスを含む)そのものを扱ってきたISOが次のような思想でマネジメントシステムの構築、運用を組織に要求するという領域を新しく開拓しました。

それは世界の人々に製品を供給する組織経営にも標準化の光を当てようというものです。

 

その光は「能力の維持」という光です。今では当たり前になっていますが、30年前においてもグローバルに品質が良く納期に合った物品を安価に調達したいとする動きは活発でした。

その際に川上組織は川下組織に品質監査をはじめとするいろいろな活動で自分たちに納入される物品の品質保証を要求しました。

当然なことですが、調達された物品が不良品であれば、しかもその不良に気が付かずに最終の工程まで生産をしたら購入組織の被る損害は莫大なものになります。

そのため、多くの組織は自分たちの調達先(サプライヤ)を直接訪問して、生産現場を監査することでその危険性を最小化しようとしました。

 

 

 

その活動(2者監査)は、中小企業であるサプライヤにとっては大きな負担になるものであり、サプライヤによっては1か月に数回も異なる顧客から2者監査を受けるということで、中小企業側からはその負担を軽減することのできる制度は永らく望まれていたものでした。

欧州においては当時「大英帝国病」と揶揄されていたイギリスが、工業化への波にうまく乗りISO規格を利用して組織を認証してあげますよというビジネスを始め、その認証書があれば2者監査が軽減されるという制度が英国並びに欧州においてヒットしました。

 

 

 

その第3者認証制度の切り口は「マネジメントシステム」でした。

 

もし「不良率を下げろ」と要求すると、第3者認証制度において審査員がサプライヤの生命線である企業ノウハウ、固有技術に入り込み、組織情報が外部に流出する恐れによりサプライヤには採用しづらい制度になってしまいます。

結果、サプライヤに不良率を下げろと要求するのではなく、不良率を下げるマネジメントシステムを要求するという枠組みを鍵とした制度になりました。

しかし、この「マネジメントシステム」は両刃の剣です。枠組みがあっても中身が良質であるという保証はありません。

さらに「マネジメントシステム」の枠組みが本当にしっかりと構築されているかも認証制度の進展とともに疑問視する人も増えてきました。

 

 

2012年に発行された、共通テキストの箇条4.4には、マネジメントシステムの構築、運用について次のように規定されています。

 

「組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,XXXマネジメントシステムを確立し(establish),実施し(implement),維持し(maintain),かつ,継続的に改善(improve)しなければならない。」

 

マネジメントシステムは、強固な枠組みに守られて中身が維持されていくことが特徴であるにもかかわらず、その枠組みにヒビが入っているとすると、サプライヤの2者監査の代用にはとても活用できなくなります。

 

 

反対にISOマネジメントシステムが強固に構築されていると、今のシステムの中味の状態が今後とも同じレベル、あるいは改善された状態で維持されることで組織の信頼性は高まります。

このマネジメントシステムを強固にするということは、業務の標準化がしっかりと出来ており、それらが文書化した情報として可視化され、日常業務及び教育訓練に継続的に活用されるようにしなければなりません。

そうすることで、サプライヤは確実に自身の能力を向上させることができます。

 

 

世界に認証が広がった原動力は、サプライチェーンにおける調達要件に認証書が使われたことにあります。

川上組織は自身が活用する川下組織に、調達の要件として「マネジメントシステム」認証書を要求するようになりました。

しかし、この10年の間に徐々にこの調達要件である認証書の信頼度が低下しています。

その結果、いろいろなところに変化が見られます。例えば、従来は「ISO9001を取得していること」という調達要件が「QMSを構築し運用していること」に変わりつつあると聞きます。

 

 

「ISO9001大誤解シリーズ」は以下の12のテーマを予定しています(タイトルは変わることがあります)。

 

1.ISOをやれば、会社の業績がよくなる。

2.ISO9001の認証取得費用が高すぎる。

3.ISO9001は大企業の製造業向けであり、中小・零細企業やサービス業の会社には無理である。

4.我社には既にマネジメントシステムがあるので、ISOなど必要ない。

5.ISO9001認証・維持に手間が掛かり過ぎて、本業が疎かになってしまう。

6.どうやったらISO9001が楽に取れますか?

7.ISO9001に基づくシステム構築は品質管理部門の仕事です。

8.ISO9001では結局、文書があればそれでよいんでしょ?

9. 今回の更新審査(内部監査含めて)も指摘がゼロでよかったです!

10. ISO登録維持のための年中行事として、内部監査とマネジメンとレビューをちゃんと継続してやっています。

11.QMS=ISO9001ですよね。

12.ISO9001認証を受けた会社は、市場クレームを起こさないんですよね?

 

それでは次週の「1.ISOをやれば、会社の業績がよくなる。」をお待ちください。

 

 

(平林 良人)

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