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超ISO企業研究会メルマガ 番外編(1) (2017-9-11)

2017.09.11

 

超ISO企業研究会のメルマガ、今までいくつかのテーマで連載をして参りました。

 

直近ではQCツール編として連載をしてきました。

それが43回をもって終了し、今は、次の連載に向けての準備をしているところです。

 

 

次のテーマに向けての予備編として、今回は少し時事的な話題に触れたいと思います。

 

具体的に何かと言えば、ISOの認証の現在ということについて取り上げます。

 

 

認証といえば、多くの方にとっての今現在の最大の関心事は、ISO9001/ISO14001の2015年版移行対応ではないでしょうか。

 

2015年9月に改訂版規格が発行され、通例2年間の移行期間(組織が改訂版規格への対応を終える期間)が今回は特別に3年間となりました。

しかしもうすでにその期間も三分の二の2年間が過ぎ、移行完了期限までの時間がついに1年を切りました。

 

実際には、移行完了日までに、審査を実施した認証機関内部の会議において、その組織の移行が無事完了した、と認められなければなりません。

その期間を少なくとも1ヶ月は見ておく必要があります。

また審査を受ける前に、システム自体を2008年版対応から2015年版対応に変え、その上で3ヶ月間の運用を行う必要があることを考えると、いよいよ組織の方々の移行対応も終盤に突入した、と考えています。

 

 

 

しかし・・・・

 

 

 

正確に申し上げると

 

上記の「考えています」は現状を表した言葉としては決して適切とは言えません。

 

 

ここで用いるべき言葉は

 

「考えていた」

 

になります。

 

 

さあ、どういうことかと申しますと、移行の期限が残り1年を切った現時点においても、組織の2015年版への移行率はいまだ30%程度ということなのです。

 

もちろん、このような状況になることの予測はある程度していました。

2015年版が出た直後くらいのアンケート等による調査から、組織の皆様方の2015年版移行対応は2017年(つまり今年です!)がピークであることはわかっていたからです。

しかし、その2017年もだんだんと終わりが近づき、2018年の足音が聞こえてくる時期になりました。

 

その今のタイミングであっても、ということです。

だからと言って、このメルマガで何かをあおるようなことを言いたいわけではありません。

 

大手の認証機関の中には、まだこれから審査に入る審査先(認証取得組織)はたくさんあるにせよ、ほぼすべてのお客様(認証取得組織)のフォローを完了させ、後は着々と審査が無事に終わることを待つのみ、というところもあります。

 

こういった機関では、早い段階からお客様サービスとして、2015年版に関する無料セミナーを開いたり、通常の広報文書以外に規格の変更点に関する文書(規格のギャップ分析の資料など)を作成して、その機関のお客様方に配ってきた。

そしてその上で営業マンがお客様組織の個別フォローをしてきています。

 

このような機関はまだ移行率が低くてもあわてることなく、冷静に3年間の移行期間を有効に使って、お客様との信頼関係をより強固にする活動をしている、と言えるでしょう。

 

 

 

しかし残念ながら、すべての認証機関がこのような対応をしているとは言い切れないところにISO業界の課題があります。

 

特に、昨今の価格競争に巻き込まれている中小の認証機関にとっては、色々な課題が見受けられます。

 

 

そのような世の中の状況を踏まえた上で、認証取得組織の皆様方には、この2015年版移行の対応を図っていただきたいのです。

 

まず、すでに言い古された感はありますが、2015年版改訂、そして移行対応上の要諦を記しておきましょう。

 

 

●規格の文言自体はかなり大きく変わったと言える

●2008年版での対応から何も変えなくても移行審査はパスできる、ということはない

●とはいえ、2008年版対応段階ですでに経営の本質を捉えたQMSとしてISO9001の要求事項にとらわれず運用をしてきた組織にとっては、特に準備をしなくても移行審査を受けられる可能性はある

 

 

2015年版で箇条構成が変わったり、新しい要求事項が増えたり、という表面的な捉え方をすると、大幅な改訂であることは間違いありません。

しかしながら、QMSに関する要求事項であることは何ら変わりなく、「プロセスアプローチ」の概念も強化されているとはいえ、2000年版のときから言われていることです。

 

「リスクと機会」や「事業プロセスとQMS要求事項との統合」も今回新しく入ってきた要求事項ではありますが、事業推進、経営管理、と言うことで考えれば、当たり前のことであり、経営者であれば軽重の違いはあるにせよ、それらのことを意識していなかったという社長はいないはずです。

 

故に、今までISO9001の要求事項を最低限のもの、と捉えてQMSを自社なりに構築、運用してきた組織にとっては、2015年版対応はそれほど心配をする必要はないでしょう。

しかしながら、そのような組織ばかりではないことまた事実ではないでしょうか。

 

認証取得を目的としてISO9001対応をしてきた組織にとっては、2015年版移行対応はそれなりの重荷になると思われます。

そのような組織にとっては、残された時間もあまりない、という認識を持つ必要があります。

 

2015年版は、特にトップマネジメントに対する要求事項が強化されています。

だからといって、経営者からの指示が出てくるのを待つのではなく、経営者への働きかけをして、経営者から色々なことを引き出す活動を通じて、2015年版移行対応をQMS改善の一つのきっかけとしていただきたいと思います。

 

そのために現在、次のシリーズを準備中です。

しばらくお待ちいただきたく(楽しみにしていて頂ければ幸いです)どうぞ宜しくお願い致します。

 

(青木恒享)

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