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ここがポイント、QCツール 第39回 QC工程表(1) (2017-7-31)

2017.07.29

 

今回から2回に分けて、QC工程表について説明していきます。

 

 

 

1.QC工程表とは何か

 

QC工程表は,JSQC(日本品質管理学会)の定義によれば,以下のように説明されています.

 

『製品・サービスの生産・提供に関する一連のプロセスを図表に表し,このプロセスの流れに沿ってプロセスの各段階で,誰が,いつ,どごで,何を,どのように管理したらよいかを一覧にまとめたもの』

 

端的に言えば,工程を管理するための計画(標準),工程管理計画といえます.工程管理計画としてのQC工程表の目的は,良質な製品を生み出す工程の条件(良品条件)を日常的に維持し,それによって顧客の要求に合致した製品を日々安定的に作り出し続けることです.

 

QC工程表の記述を開始するためには,第1に,良質な製品を生み出すために必要十分な「工程とそのフロー」が明らかになっていなければなりません.

 

 

第2に,各工程で管理すべき結果系の項目として,各工程のアウトプットとして得られるべき「品質特性」とその「管理水準(目標値・限界値)」,またそしてそのような結果を確実に実現するために必要な要因系の項目として,当該工程の「製造条件(≒良品条件)」を特定する必要もあります.

要因系の管理項目は別名,点検項目と言われており,通常は4M(Man, Machine, ,Method, Material)の観点から挙げられることが多いようです.これに,検査・測定(Measurement),さらに作業環境(Environment)を加えて,5M+1Eで捉えてもよいでしょう.

 

 

第3に,上記で示した結果系と要因系の管理項目を用いて「工程を管理する方法」を記載します.より具体的には,上で挙げた各管理項目の

 

・測定条件

・測定方法(頻度,サンプリング方法)

・用いるツール(管理図,チェックシートなど)と異常判定法

・測定機器

・測定担当者

・測定データの記録・保管方法

 

などを定める必要があります.

 

 

そして第4に,上で測定した管理項目データにおいて「異常だと判定され場合の処置方法」を記載します.

これには,

 

・異常判断された当該製品の処置

・当該製品と同じ工程条件で既に製造された製品への処置

 

の内容は最低限含まれているべきでしょう.

 

 

さらに,別の機会を利用して,このような異常を再発防止するという観点から,

 

・当該工程の良品条件自体の再検討・変更

・当該工程で最終的に保証すべき品質特性と良品条件の関係性の再検討

・当該工程と他の工程フロー全体で保証すべき品質特性との関係性の再検討

 

を検討してもよいと思います.

これによって,製造中の異常を発生させない,発生してもすぐに対処するというプロセスを構築することができます.

 

各工程でどのような作業を実施すればよいかについては,作業標準に記載されます.QC工程表ではそのような作業標準の詳細な内容まで載せることはできませんので,各工程で用いるべき作業標準書名を記述します.

言い換えれば,QC工程表とは,どの工程でどの作業標準を使えばよいかを示した標準と捉えることもできます.

 

これまでのことを要約すれば,QC工程表に記載すべき項目は以下のようになるでしょう.

実際には,多くの会社ではこれらのうち自社で特に重点管理しなければならない項目を取捨選択して独自のQC工程表を作って工程管理を行っています.

 

・工程フロー

・各工程で保証すべき品質特性とその管理レベル

・当該工程の良品条件(5M+1Eの観点から)

・管理方法

・測定条件,方法,ツール,異常判断方法,機器,担当者,データの保管・記録

・異常処置の方法

・各工程で用いるべき作業標準書

 

 

 

 

2.QC工程表の本質的な意味

 

ここでは,1.で説明したQC工程表の本質的な意味を説明したいと思います.

 

第1に,QC工程表は目的と手段,原因と結果のように,“因果関係を体現したツール”になっているという点です.

まず,工程フロー全体のアウトプットである最終製品が保証すべき品質特性と,各工程で作り上げるべき品質特性の関係の理解が大事です.

これが明確でなければ,当該工程で何をどの程度保証すべきか明確になりません.

 

次に,各工程で保証すべき品質特性と当該工程の良品条件との間の関係の理解も重要です.

言い換えれば,どのようなプロセス条件であれば,良品ができるのか,その技術的な因果関係の理解に基づいてQC工程表を作ります.

そして,このような技術的な因果関係に加えて,現場作業者によるヒューマンエラー,日々の微細なノイズへの対処等の管理的な要因を踏まえることで初めて,妥当で質の高いQC工程表を作ることができるのです.

 

 

第2に,“良品条件を維持し続ける”という点です.

維持をし続けるということは,思っている以上に難しいものです.よく考えてみれば,毎日同じようなことをやっているつもりであっても,そもそも作業者が異なったり,同じ作業者でも日々の作業能力・作業効率はまったく同じではありません.

設備も使えば使うほど劣化していきますし,温度・湿度等の作業環境も変化します.さらに,納品される部材の品質もまったく均一ではありません.

 

つまり,微細ではあるかもしれないが,様々なノイズがいつも日常的に発生しており,それらが当初の想定内のノイズ,変化・変動かどうかを確認することが重要です.

だからこそ,1.の管理方法で説明したように,決められた測定条件と方法によって要因系の管理項目である良品条件のデータを定期的に収集し,その測定データに基づいて異常がないかどうかを日々チェックすることが求められているのです.

 

さらに,維持すべき良品条件がいつも常に正しく完全なものであるとも限りません.

その場合には,良品条件を維持しても当該工程のアウトプットである品質特性を満たせなくなります.

したがって,このような場合を見越して,要因系のみではなく結果系の管理項目データをも同時に収集することによって,このような事態になっているかどうかをチェックしているのです.

そして,このような事態を発見した場合には,迅速かつ妥当な異常処置を施すことが重要であり,QC工程表に異常処置の内容を記載することになっているのはこのためです.

 

さらに,このような異常処置が続くことになれば,別の機会で良品条件の再検討が行われ,その新たな良品条件を維持し続けることがQC工程表の次の役割となるのです.

 

次回に続きます.

 

(金子 雅明)

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