ここがポイント、QCツール 第23回 新QC七つ道具(6):PDPC法 (2017-3-21)
2017.03.21
新QC七つ道具の第6回は,PDPC法を取り上げます。
新QC七つ道具のうちで,アローダイアグラム法,PDPC法,マトリックス・データ解析法の3手法を実務で運用できることが,QC検定(品質管理検定)1級レベルとみなされます。
■□■ PDPC法 ■□■
・PDPC法とは,その目的
PDPCは,「目標達成のための実施計画が,想定されるリスクを回避して目標に至るまでのプロセスをフロー化した図」(文献1)を言います。
PDPC法は,1968年の東大紛争時に近藤次郎東京大学教授(当時)が紛争解決のための問題解決・意思決定の手法として開発したもので,過程決定計画図(Process Decision Program Chart)の頭文字をとってPDPC法と呼ばれています。
PDPC法は,目標に至るまでに想定される問題をできる限り事前に抽出し,それを回避する望ましいプロセスを導くための手法として有効で,通常はフロー図で表します。
目標に至るプロセスの進行中に発生した予期しない問題に対してもPDPC法を適用します。
・PDPC法の実施手順の本質
PDPC法を使うときの要点を次に例示します。
・PDPCは一回書いたら完成ではなく,事態の進展に合わせて書き換えていくことにより最終結果(ゴール)への最短の道筋を明らかにします。
・出発点(スタート点)から良い結果を結んで作成するようにします。望ましくない結果を回避する(対策をとる)ルートも検討しますが,良い結果へのルートの探索により着目します。
・出発点から時間の経過(流れ)に沿って作成することが原則ですが,行き詰った場合は,最終結果から逆に遡りながら検討する場合もあります。
・一番好ましいルートが分かるように識別します。また,矢線同士の交錯は避けます。
・ときには,振出しに戻ったり,途中からやり直したりするフィードバックのルートもあります。これは,ループを許さないアローダイアグラム法とは大きく異なっています。また,必要に応じて前と同じ作業を繰返すこともあります。
・PDPC法の適用場面と得られる効用・メリット
PDPC法の活用によって得られる効用・メリットを次に例示します。
・事態をどのように導いて最終結果を得るのかという道筋が分かりやすく,協力や連絡などのコミュニケーションがしやすい。
・過去の知見・経験を活かして先を読み,予測しながら先手を打てる。
・問題や重点事項の確認がしやすい。
・全員の意見を集めやすく,納得したうえでの修正などのルートの最適化が容易になる。
・他の手法との関係-特に新QC七つ道具
連関図法を用いて探索し,判明した原因を解消する方策を,PDPC法を用いて検討できます。
また,PDPC法を用いて,系統図法により明らかにした多くの方策の実施手順化ができます。
・実施・運用時の注意・留意事項
PDPC法を活用するときの留意事項を次に例示しますので,チェック項目として利用してください。
・PDPC法を用いて実施する課題(目的,テーマ)が明確ですか?
・前提条件と制約条件を把握していますか?
・出発点から最終結果までの重要な手段を列挙していますか?
・各段階で予想される状態を想定し,その対策が具体的になっていますか?
・PDPC法による計画を確実に実施していることを確認していますか?
■参考文献
- JIS Q 9024:2003「マネジメントシステムのパフォーマンス改善-継続的改善の手順及び技法の指針」
- 「全社的品質管理推進のための管理者スタッフの新QC七つ道具」,水野滋監修,日科技連,1979
- 「やさしい新QC七つ道具」,新QC七つ道具研究会編,日科技連,1984
村川賢司(前田建設工業)