ここがポイント、QCツール 第19回 新QC七つ道具(2):連関図法 (2017-2-20)
2017.02.20
新QC七つ道具の第2回は,連関図法を取り上げます。
■□■ 連関図法 ■□■
●連関図法とは,手法の目的
連関図は,「複雑な原因の絡み合う問題について,その因果関係を論理的につないだ図」(文献1)を言います。
連関図法は,原因―結果,目的―手段など,複雑に原因が絡み合う問題の因果関係を論理的につないで解明し,解決の糸口を見出すための手法として有効です。
1次原因,2次原因,…と原因の抽出を繰り返すことにより,原因間の因果関係を一覧できるように図示します。
●連関図法の実施手順の本質
連関図法を使うときの要点を次に例示します。
・連関図法を使ううえでの前提条件を明確にしてから,連関図の作成に取り掛かります。
・参加者が十分にディスカッションし,テーマとなる問題に対する共通認識を得ることが,原因の明確化を促進します。
・問題に関係すると考えられる原因をいろいろな側面から抽出し,カード化します。
・原因をカード化する場合,1枚のカードに2つ以上の意味を持たせず,簡潔な文章にします。文章は,主語+動詞の形で,できる限り生の声に近い,誰が読んでも意味が分かる表現にします。
・同じ意味・内容のカードは1枚だけにします。
・矢線で結ばれた原因(A)と結果(B)は,内容的に離れすぎないように注意します。「AだからBになる」というように,素直に因果関係が分かる関係が大切です。
・原因と結果の矢線がループ状になったときは,どこか適切なところ(例えば,矢線の関係が一番弱いところなど)で切ります。
・1次~3次の低次よりも4次~7次の高次の原因の方がより根本原因に近づいています。
・因果関係はできる限り事実又は数値データで定量的に捉えるようにします。
・連関図の因果関係について参加者全員が同じ理解に立つことが重要です。
●連関図法の適用場面と得られる効用・メリット
連関図法の活用によって得られる効用・メリットを次に例示します。
・因果関係を明確にていく過程で,関係者の共通認識が収れんすることが容易になる。
・広い視野から,複雑に絡み合った原因間の相互関係を見渡すことができる。
・枠にはまらず自由に連関図を作成していくことにより発想転換が可能になる。
●他の手法との関係-特に新QC七つ道具
連関図法により明らかになった原因に対して,系統図法を用いて方策を展開することにより問題を解決するための実施項目を明確にすることや,PDPC法を用いて問題を解決するための道筋を明確にできます。
親和図法を用いて問題を統合・整理したものの取り組むべき問題が明らかにできない場合があります。
このようなときは連関図法により問題の相互関連を考察し,重要な問題をより鮮明にすることができます。
●実施・運用時の注意・留意事項
連関図法による原因の探索において,中央集中型の連関図を作成する場合の留意事項を次に例示します。
・取上げたテーマに対して,うまくいっていない状態を「なぜ~にならないのか」という表現で,模造紙(又はパソコン画面)の中央に配置します。
・参加者が,テーマに影響していると考えられる原因を,主語+述語を明確にし,カード化します(各自5枚程度)。
・カードを吟味し,内容の似たものをグループ化します。
・これらのグループに従って1次原因,2次原因,3次原因,…と「なぜなぜ」を繰返し,全ラベルを原因→結果の関係を示す仮矢線で結びます。
・ディスカッションしながら参加者全員が納得いくまでラベルの追加や矢線の付け替え・書き直し・追加などをします。
・大きな影響があると思われる原因には,太枠や色づけして識別します。
■参考文献
- JIS Q 9024:2003「マネジメントシステムのパフォーマンス改善-継続的改善の手順及び技法の指針」
- 「やさしい新QC七つ道具」,新QC七つ道具研究会編,日科技連,1984
- 「全社的品質管理推進のための管理者スタッフの新QC七つ道具」,水野滋監修,日科技連,1979
村川賢司(前田建設工業)