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ここがポイント、QCツール 第17回 QC七つ道具(7):まとめ (2017-2-6)

2017.02.07

 

 

これまでに解説したQC七つ道具は以下のとおりでした.

 

・パレート図

・チェックシート

・ヒストグラム

・グラフ,散布図

・管理図

・特性要因図

・層別

 

今回は,QC七つ道具の解説の最終回として,これまでに解説したQC七つ道具うち「パレート図」,「チェックシート」,「ヒストグラム」,「管理図」の4ツールをピックアップして,補足説明をしておきたいと思います.

 

 

 

 

■パレート図

 

まず最初に,「パレート図」です.

これは,2割の人が全体のパフォーマンスの8割を生み出しているという経験則(パレートの原理)に基づいて,物事に優先順位を付けるためのツールでした.

 

縦軸に「不適合品数」,横軸に不適合となった直接の原因となった現象(欠け,異物混入,亀裂,膜厚不良など)を取れば,優先順位の対象となるのはその不良現象(=不良項目)そのものとなります.

また,不良の現象ではなく,それを引き起こした要因を取ることも可能です.

つまり,横軸は“優先順位付けすべき対象”を意味します.

横軸の項目として,不良の現象とその現象を引き起こした要因が混在したパレート図を見ることがありますが,これは避けるべきでしょう.

 

また,このときに不良現象や要因をどのような視点から捉えればよいかも大切です.

このような分類の視点には,工程,設備・機械,作業者,原材料などがありますが,どのような分類が良いかを色々とトライしてみる(=いろんな分類の視点でパレート図を複数作ってみる)ことをお勧めします.

少なくとも,縦軸の件数に「1」が多く並び,その他の件数が圧倒的に多いパレート図は分類の視点が適切でないことを明確に示しています.

 

 

 

 

■チェックシート

 

次に,「チェックシート」です.

これにはデータ集計用と点検用の2種類がありましたが,とりわけ重要なことはどのようなチェックシートにするかを決めること,すなわちチェックシートの設計です.

 

例えばデータ集計用であれば,どのような「データ項目」を収集するかをまず決めなければなりません.

どのようなデータが必要であるかは,そのデータを収集した後の分析方法や分析の目的に大きく依存します.

したがって,分析方法や分析目的を明確にし,それに適したデータ項目が何であるかを考えてからデータ集計を行うべきであり,“とりあえずデータを集めてから考えてみよう”のアプローチではダメなのです.

 

次に大切なことは,チェックシートのレイアウト(データ項目の表現等を含めて)です.

これは単に“見栄え”のことを言っているのではありません.そのチェックシートを使う人が,誤解や間違えなく,確実に狙ったどおりの項目を集計(または点検)できるかが重要であり,そのために適したレイアウトにすることです.

データ集計用チェックシートは1回~数回程度しか使わないかもしれませんが,点検用チェックシートは日々の日常業務の中で異なる作業者の間で繰り返し使われます.

点検漏れがもしあれば,最終的には大きな問題に発展することもありますから,それを防ぐためにも作業者にとって自然体で無理なく確実に実施できるチェックシートにすることがポイントです.

 

 

 

 

■ヒストグラム

 

3つ目は「ヒストグラム」です.

これは,測定(集計)したデータが存在する範囲をいくつかの区間に分けておき,各区間を横軸として,縦軸にその区間内に存在するデータの個数(=頻度)を取ったグラフでした.

そして,

 

①ヒストグラムの形

②ヒストグラムの中心位置(=データの平均値)

③ヒストグラムの裾の広がり具合

 

を手掛かりとして,対象となっている工程が安定しているかどうか,どのような問題があるかを読む解くことが目的であると述べました.

 

実は,確率統計の世界では,特性値として重さ,長さ(厚さ),強度などのような数値データは正規分布に従うことが知られています.

正規分布とは,その分布の中心位置が最も頻度が高く,その中心位置から離れるにしたがって頻度が徐々に低くなっていく,分布の中心位置から左右対称の形をしたヒストグラムとイメージしていただければよいと思います.

分布の中心位置周辺の値が最も多く発生し,そこから左右に離れれば離れるほどその値を取る確率は低くなります.

 

そして,“対象の工程がもし安定しているのであれば,そこから収集したデータの分布の形は正規分布である”と期待できます.

ヒストグラムは,この点を利用して,得られたデータから作ったヒストグラムの形(①)が正規分布になっているかどうかを確かめることによって,その工程が安定しているかどうかを判断しているのです.

 

また,得られたデータから作成したヒストグラムの中心位置(②)が,設計上の狙いの値と一致しているかどうかも確認します.

これは先ほど言いましたように,正規分布ではその中心位置の周辺の値が最も多く発生しますから,それが狙いの値とずれているのであれば,その中心位置を狙いの値に合わせるような工程改善が必要となります.

 

一方で,ヒストグラムの裾の広がり具合(③)は,その工程のばらつきを評価するために用いられます.

これも確率統計の世界の知識を利用するのですが,もしその裾の広がり具合がある基準値を超えている場合に,その工程のばらつきは大きいとか,小さいとかという判断をします.

この判断を行うために「工程能力指数(Cp,Cpk)」が広く使われており,一般的には1.33以上が必要と言われています.

それ以下であれば,工程のばらつきを低減するような工程改善が求められるのです.

 

 

 

 

■管理図

 

最後に「管理図」です.

管理図には,解析用管理図と,工程の維持のための管理図の2通りの使い方がありましたが,後者の工程の維持のための管理図について補足したいと思います.

そのためには,まず工程を安定させるために何が必要かを理解する必要があります.

 

工程を安定して運用するためには,

 

1)顧客に対して品質保証すべき製品の品質特性を明確にし,

2)品質特性に影響を与えるプロセス要因,条件を特定し,

3)プロセス要因,条件を維持するために必要な作業を標準化し,標準通りに実施する

 

ことが必要です.

 

ここで,2),3)については,影響の大きいものから非常に小さいものまで考えられ得るあらゆるプロセス要因,条件を特定し,標準化することによってばらつきを完全に制御しようするのは現実的ではありませんので,顧客の許容範囲内でそのばらつきを抑えればよいと考え,そのために必要な程度のプロセス要因,条件に絞って標準化することになります.

言い換えれば,選ばれなかったその他のプロセス要因,条件による工程のばらつきは無視することができます.

 

つまりこれにより,工程のバラツキはゼロではなくある程度のばらつきを持っている状態(偶発原因によるばらつき)ではありますが,常に顧客の要求を満たすこと(=工程の安定)は実現できます.

管理図においては,品質特性に大きな影響を与えると判断して選んだプロセス要因,条件による工程ばらつきを見逃せない原因(または異常原因),それ以外の偶発的に生じるばらつき原因を偶発原因と呼んでいます.

そして,工程の維持のための管理図というのは,まさに上で述べた1)~3)すべてを実施した上で,工程に入り込む「異常原因」の察知,早期発見のために用いられるものなのです.

 

 

以上で「QC七つ道具」のツール解説は終了です.

 

 

 

次回からは,「新QC七つ道具」の解説がスタートします.

 

金子 雅明

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