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ここがポイント、QCツール 第13回 QC七つ道具(3):グラフ (2017-1-10)

2017.01.10

 

QC七つ道具の3回目は,グラフを取り上げます。

 

 

 

■□■ グラフ ■□■

 

●グラフとは,その目的

 

グラフは,「データの大きさを図形で表し,視覚に訴えたり,データの大きさの変化を示したりして理解しやすくした図」(文献1)を言います。

グラフによって,データ(数字)の統計解析の結果をひと目でわかるように図示することができ,データがもつ多くの情報を要約し,正確に,早く理解することができます。

 

 

 

●グラフの実施手順の本質

 

データをとったときに数字を羅列しただけでは,その数字が何を意味しているのかをすぐに理解することは容易ではなく,ともすると判断を誤る恐れすらあります。

したがって,集められた数字を整理し,大小関係や傾向などをひと目で理解して判断できるようにすることが大切になります。

実態や状況を素早く正確につかむためのツールとして使用目的に応じたグラフが使われています。

 

グラフを使うときに見逃してはならないことは何なのでしょうか。

 

グラフは,その使用目的によって多様な表現形式をとることが可能な,自由裁量が大きく,使いやすい手法です。

反面,グラフの選択を誤ると,データのもつ情報を正しく把握することが難しくなります。

何のためにグラフを書くのかという目的を明確にし,適切なグラフを選択することが不可欠です。

 

代表的なグラフの表現形式と主な目的を次に例示しますので,目的に合ったグラフを選択するように心がけてください。

 

・棒グラフ:数の大小を比較する。

・折れ線グラフ:時間的な変化を見る。

・円グラフ:内訳の割合を見る。

・レーダーチャート:項目間のバランスを見る。

・帯グラフ:層別した項目別に内訳の割合や,帯グラフを並べて時間的な変化を見る。

・Zグラフ:目標値の達成状況をチェックする。

 

グラフの目的(例えば,情報を要約し,正確に,早く,理解するなど)を達成するために特に考慮する点は,図を用いて人間の視覚に訴えるというグラフの特徴から,正しく,見やすく書くことが前提になります。

具体的に「棒グラフ」を例に考えてみましょう。

見やすい棒グラフの要件として,

 

a)基線(棒の底辺)はゼロにする,

b)比較する数量の差が小さい場合は,波線を入れて途中部分を省略し,上の方を読みやすくする,

c)数量に極端な差がある場合は,波線を用いて数量の小さい項目を読みやすくする,

d)棒の幅は,棒と棒の間隔の2倍くらいにする,などが挙げられます。

 

皆さんの身のまわりにある棒グラフはこのように書かれているでしょうか? 見にくく,理解しにくい棒グラフが実際にはかなりあるようです。

グラフから情報を正確に読み取るために,グラフを正しく,見やすく書くことへの配慮が必要です。

 

 

 

 

●グラフの適用場面と得られる効用・メリット

 

グラフを適用する場面には,

 

a)品質特性の推移や活動成果を示すための説明用,

b)データを分析して改善の手掛かりを探るための解析用,

c)品質特性を定期的に確認していくための管理用,

d)日程計画・生産計画を図化するための計画用,

e)換算図などの計算用など,多様な用途があり,使用目的に応じたグラフが選択できます。

 

グラフの効用には,複雑な計算がさほど必要でなく誰にでも簡単に作成できる,数字を視覚化することで情報を速く深く理解できる,直感的に把握できる,読み解く労力を軽減できる,訴えたいことの訴求力が大きく読み手の興味を喚起できる,など多くを挙げることができます。

 

このように,グラフは,いろいろな領域での適用が可能な奥行きの深い手法と言えます。

 

 

 

 

●他の手法との関係-特にQC七つ道具

 

棒グラフと類似した手法として,ヒストグラムがあります。

JIS Z 8101-1:2015では,棒グラフを「一定の幅で,高さが度数に比例する長方形からなる,名義尺度の度数分布のグラフ表現。」と定義し,ヒストグラムを「底辺の長さが級の幅に等しく,その面積が級の度数に比例する近接する長方形からなる度数分布のグラフ表現。」と定義しています。

そして,棒グラフについて,長方形は近接させる必要はないものの,ヒストグラムとの違いが次第に曖昧になりつつあると注記しています(文献2)。

折れ線グラフを利用して管理限界線を加えたものは,管理図の一形態と捉えることができます。

 

 

 

 

●実施・運用時の注意・留意事項

 

グラフは,データの大小関係,傾向,変化,関係などが正確かつ端的につかめる図になるように,図の大きさ,縦横比,表示する値の範囲などを設計する必要があります。

設計が良くないとデータの真の姿を把握できません。

また,あってはならないのですが,恣意的に見せたくないことを目立たせなくできる表示設計が可能なことは注意を要します。

 

グラフを見やすく作成するときの全般的な注意・留意事項を次に例示しますので,参考にしてください(文献3)。

 

・グラフの表題は,a)簡潔明瞭で,内容がひと目でわかる,b)目を引きつけ,読み手が興味を抱く,c)表題で不足する内容は副題で補足するなどを考慮します。

・基線がある場合,基線を明示します。

・縦軸(横軸)がある場合,その説明(軸で取り上げた特性名)を入れます。

・縦軸(横軸)に目盛がある場合,数値の単位を記入します。単位は,普通,縦軸の上端(横軸は右端)に,( )書きすると単位の読み違いを防げます。

・目盛の数値はケタ数が大きいと煩雑になるので,できる限りケタ数を少なく,スッキリさせます。

・データの数値は,目障りにならないように,グラフ内に記入しないことを原則にします。

・小さい数の項目が多い場合は「その他」に集約し,大きい数の項目が分かるようにします。

・目盛,目盛の数値,単位,項目,説明事項,データの期間など,必要事項に書き忘れがないかを確認します。

・グラフの大きさは,バランスのとれた図になるように決めます。棒グラフなどでは,グラフが概ね正方形に収まると一般的には見やすくなると言われています。

 

 

 

 

■参考文献

  1. JIS Q 9024:2003「マネジメントシステムのパフォーマンス改善-継続的改善の手順及び技法の指針」
  2. JIS Z 8101-1:2015「統計-用語及び記号-第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語」
  3. 「QC七つ道具」,細谷克也,日科技連,1982
  4. 「日本の品質を論ずるための品質管理用語Part2」,日本品質管理学会標準委員会編,日本規格協会,2011
  5. JIS Z 8101-2:2015「統計-用語及び記号-第2部:統計の応用」
  6. 「新編 品質管理入門(A)・(B)」,石川馨,日科技連,(A)1964・(B)1966

 

村川賢司(前田建設工業)

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