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ここがポイント、QCツール 第12回 QC七つ道具(2):チェックシート,ヒストグラム (2016-12-27)

2016.12.27

 

 

QC七つ道具の2回目は,チェックシートとヒストグラムを取り上げます。

 

 

■□■ チェックシート ■□■

 

◆チェックシートとは,手法の目的

 

チェックシートは,「計数データを収集する際に,分類項目のどこに集中しているかを見やすくした表又は図。」(文献1)を言います。

 

職場においてQC七つ道具を活用し,事実・データに基づいた管理・改善を実践するためには,何らかの形でデータをとらなければ実現できません。

しかし,仕事に忙殺されがちな職場で確実に有効なデータをとることは,口で言うほど容易ではなく,負荷を感じた経験をお持ちの方もおられると思います。

 

このため,不適合品の個数,単位面積当たりのキズの数などの計数値のデータが簡単にとれてデータ整理も簡便にできるように,また,高度に複雑化した設備点検や作業前点検などで確認項目を見落とさないようにするためのツールとして,チェックシートが使われています。

 

チェックシートは,データが記録できるように,必要な項目,姿図などを前もって印刷した用紙で,テスト記録,検査結果,作業の点検結果などをチェックマークなどで記録できるようにしたものが一般的です。

近年では,自動的にチェックし,電子データによってチェックシートを作成できるようにもなってきました。

 

チェックシートを用いることで,簡単に必要データを収集・整理でき,また点検・確認項目を漏れなく効率的に点検・確認することができます。

 

 

 

◆チェックシートの実施手順の本質

 

 

チェックシートを使うときに見逃してはならないことは何なのでしょうか。

 

チェックシートの用途は,度数分布調査用,点検・確認用,不適合部位調査用,不適合項目調査用,不適合要因調査用など多様であり,目的に応じた使い分けが必要です。

チェックシートには既定の様式はありませんので,データをとる目的に合った様式を設計しなければなりません。

 

顧客・社会のニーズ・期待の激しい変化に即応して製品・サービスの品質も大きく変容する今日,過去は有効であったチェックシートでも,3か月も半年も見直しされなければ,マンネリ化して用をなさなくなる懸念があります。常時,チェックする項目が適切であるかを確認して検討し,追加・削除などを的確に行うことが大切です。

 

チェックシートから得られたデータは,パレート図,ヒストグラム,グラフ,管理図などのQC七つ道具を用いて目で見える形に整理し,考察を加えて迅速な処置をとることが必要です。

したがって,チェックを怠ったり,仕事が終わってからまとめてチェックしたりしたのでは,データの間違い,形式化,あってはならないデータ改ざんなどを招きやすく,つど正しくチェックすることの大切さを忘れてはなりません。

そして,時宜を失わず分析し,その情報を管理・改善に活かすことが大切です。また,チェックシートには,分析に役立つ履歴(例えば,製品・部品名,工程名,日時,測定者など)を記入する欄を設けておきます。

 

チェックシートを使って得られる情報をもとに地についた管理・改善ができるように,実質的な様式を工夫してください。

 

 

 

 

◆チェックシートの適用場面と得られる効用・メリット

 

 

チェックシートは,大別すると,調査と点検の場面で適用できます。

 

調査の場面では,ある目的のために必要に応じて特別にデータをとり,分布の形や,どのような不適合がどのくらい,どこで発生しているか,などを把握できます。

点検の場面では,日常の業務において,あらかじめ定めた時点・場所などで,事前に決めてある項目が所期の目的に合っているかなどを点検して確認できます。

 

 

 

 

◆他の手法との関係-特にQC七つ道具

 

 

チェクシートは,層別したデータを簡単にとることに役立ちます。

そのデータは,パレート図,ヒストグラム,グラフ,管理図,散布図などによって目で見て直感的に分かる形に整理され,活用されます。

 

特性要因図を第一線職場に分かりやすく作成しておけば,チェックシートとして使えます。

ある不良の状況や原因が分かるたびに特性要因図の該当する要因にチェックを加えていくことにより,抑えるべき要因が判断しやすくなります。

ヒストグラムで使われる度数分布表もチェックシートの一形態と言えます。

 

 

 

◆実施・運用時の注意・留意事項

 

 

チェックシートを作成・活用するうえでの注意事項を次に例示しますので,チェック項目として利用してください。

 

・データをとる目的が明確ですか?(データをとって,どのように使うのかよく考えておくことが重要です。)

 

・データがとりやすく,整理しやすいチェックシートが選ばれていますか?

 

・誰が,何を,いつ,どこで,どのような方法でチェックするのかを盛り込んだ,具体的なチェックシートが設計されていますか?(できる限り簡単なことが大事です。また,チェック項目が適切であるかの見直しを忘れずにしてください。)

 

・三現主義で現物をよく観察してチェックしていますか?(このために,チェックの仕方をルール化しておくことや,チェック項目は作業順序と合わせておくことが大切です。)

 

・QC七つ道具を活用し,チェックシートから得たデータを分析し,データにばらつきや不適合を発生させている原因を特定し,対策案を立てて実施していますか?

 

・対策の実施効果が現われたかをチェックシートでデータをとり,確認していますか?

 

 

 

 

 

■□■ ヒストグラム ■□■

 

◆ヒストグラムとは,手法の目的

 

 

ヒストグラムは,「測定値の存在する範囲を幾つかの区間に分けた場合,各区間を底辺とし,その区間に属する測定値の度数に比例する面積をもつ長方形を並べた図。」(文献1と文献2)を言います。

ヒストグラムは,柱状図(英訳するとhistogram)とも呼ばれます。

 

私たちの仕事の結果は,工程(プロセス)の変化によってばらつきが必ず生じます。

重さ,長さなどの品質特性を測定したとき,データの度数はある値を中心に最も多く,中心から離れるにつれてその割合が次第に少なくなる分布をもつのが一般的です。

この分布を知るうえでヒストグラムが活用されています。

 

 

品質にばらつきを与える原因をしっかりつかみ,これを管理・改善していくことが品質管理の基本の一つです。

そのためには,品質を表す特性の状態を正しく把握する必要があります。

ヒストグラムは,データの出現状況や,ばらつきを目に見える形にするツールとして有効です。

 

 

なお,JIS Z 8101-1:2015では,ヒストグラムを「底辺の長さが級の幅に等しく,その面積が級の度数に比例する近接する長方形からなる度数分布のグラフ表現。」(文献3)と定義しています。

度数分布は,データの存在する区間を幾つかの区間に分け,各区間に入るものが幾つあるかという度数を数えて図や表に表したものを指します。

表にしたものを度数分布表と言い,これをもとに図にしたものがヒストグラムです。

 

 

 

◆ヒストグラムの実施手順の本質

 

 

ヒストグラムを使うときに見逃してはならないことは何なのでしょうか。

 

ヒストグラムは,データの集団としての情報を得る面で,全体の姿に着眼することに留意してください。

その着眼点は,

 

a)分布の中心はどこか,

b)分布の幅・ばらつきはどのくらいか,

c)分布の形が右か左に歪んでいないか,

d)分布が平らかとがっていないか,

e)飛び離れたデータはないか,

f)途中に歯の欠けたようなところやクシの歯のようなところはないか,

g)ふた山型になっていないか,

h)分布の右か左が絶壁型になっていないか,

i)層別の必要はないか,

j)規格外れはないか,

k)分布の中心は規格の真ん中にあるか,

l)規格幅に対して分布はゆとりをもって収まっているか,

 

などであり,これらをよく観て集団としての情報を得ることが大切です。

 

この着眼点に基づいてヒストグラムを観て,次の視点などから考察します。

ヒストグラムは,安定した工程では中心付近が最も高く,左右に離れるほど低くなる左右対称の形になるのが一般的です。

この分布の性質を数量的に表すには,分布の中心は平均値,ばらつきは標準偏差がよく使われています。

飛び離れたデータがあったり,絶壁型であったりなどの不規則な形の場合は,工程に何らかの異常が発生していることを疑う余地があります。

 

ヒストグラムを眺めて「ふた山型」の形では,平均値の異なる2つの分布が混じり合っている場合があります。

例えば,2つの製造ライン,2台の機械などのデータが重なっていることが想定されます。

ヒストグラムを眺めて「高原型」の形では,平均値が多少異なる幾つかの分布が混じり合っているのではないかなどを検討する必要があります。

このように,ヒストグラムを機械,材料・部品,作業者などで層別して書いて比較することにより,全体のヒストグラムだけでは分からない,ばらつきやかたよりの原因の追究に役立ちます。

 

ヒストグラムに規格値やねらい値を入れれば,規格外れがどのくらい発生しているのか,ねらい値からどの程度離れているのかが分かります。

そして,規格外れがあった場合,平均値が問題なのか,標準偏差が問題なのかを考察し,改善策を検討することになります。

規格値との比較において着目することは,

 

a)規格を外れたデータはあるか,

b)分布の中心は規格値の真ん中か,

c)分布は規格の幅に対してゆとりがあるか,

d)分布のばらつきは大き過ぎないか,また過度に小さすぎないか,

 

などです。

 

 

管理状態にある工程(プロセス)の実力を数値で把握するには,規格幅(又は,規格値と平均値との差)と標準偏差とを対比して工程能力指数を求め,工程のもつ品質に関する能力(すなわち,工程能力)の有無を判断することができます。

 

ヒストグラムをうまく活用し,母集団の姿を推し量ることができる平均値と標準偏差を把握し,また工程能力を知ることで,工程の管理・改善を堅実に進めることが肝要です。

 

 

 

◆ヒストグラムの適用場面と得られる効用・メリット

 

 

ヒストグラムは,重さ,長さ,強度,時間など,品質を表す特性値の変動(例えば,分布の中心,ばらつきなど)を目に見えるように表したい場面で適用されることが多く,次に示す面で効用があります。

 

・分布の状態を見やすくして,分布の姿を目で見たい。

・分布がどのような形をしているかを知りたい。

・データがどんな値を中心に,どんなばらつきをもっているかを知りたい。

・規格値を入れてばらつきと対比することで,工程能力を知りたい。

 

 

 

◆他の手法との関係-特にQC七つ道具

 

 

ヒストグラムは,グラフの表現形式の一つと捉えることができます。

ヒストグラムは,時間的な変化が分からないことや,群内変動・群間変動の概念が薄いなどの特徴があるため,管理図と併用して相互補完的に工程を管理・改善すると有効です。

 

 

 

◆実施・運用時の注意・留意事項

 

 

ヒストグラムは,データの層別の仕方,データのとり方,区間の数と幅の決め方,区間の境界値と規格とを合わせた方がよいか,などに留意して作成します。

また,分布の姿をつかむためには,データの数は50個以上,できれば100個以上が望まれます。

 

これらが適切に行われれば,分布の姿を見て工程の異常を捉えること,ばらつきやかたよりの原因を調べること,規格外れがないかどうかを調べること,改善の前後を比較して改善効果つかむことなどが可能になります。

 

 

次回は,グラフと管理図を取り上げ,手法の定義,目的,適用の場面・効用・留意事項などを解説します。

 

 

 

■参考文献

  1. JIS Q 9024:2003「マネジメントシステムのパフォーマンス改善-継続的改善の手順及び技法の指針」
  2. 「日本の品質を論ずるための品質管理用語85」,日本品質管理学会標準委員会編,日本規格協会,2009
  3. JIS Z 8101-1:2015「統計-用語及び記号-第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語」
  4. 「QC七つ道具」,細谷克也,日科技連,1982
  5. 「新編 品質管理入門(A)」,石川馨,日科技連,1964

 

村川賢司(前田建設工業)

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