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基礎から学ぶQMSの本質 第34回 品質監査(製品監査とシステム監査)(後編)  (2016-09-12)

2016.09.12

 

前回(前編、中編)まで品質監査の全般について述べてきましたが、この後編では、監査を受ける側が「監査をどう活用するのか」、監査する側が「どんな視点から監査するのか」について、基本的考え方や取組みなどについて説明したいと思います。

 

 

3.監査の活用の仕方

 

あなたは監査をすると言われると、いやな気持を持つと思います。自分の仕事の「あら探し」という思いが頭をよぎるかもしれません。

しかし、組織の多くは、以下のような状況の力関係から。多くの場合監査を受けざるを得ません。

 

1)法的に定められている。

2取引先から要請される。

3)組織のルールで決まっている。

受けざるを得ないのであれば、嫌な気持ちを払拭して、逆に監査を活用して組織がなお成長していく方法を考えることが前向きな姿です。

 

 

1) 法定監査

 

品質監査には法的に定められたものはありません。

参考に法定監査と呼ばれるものには、次のようなものがあります。

税務署の行う税務監査、会計監査法人が行う会計監査、株式会社を対象とする会社法監査、株式公開している会社を対象とする金融商品取引法監査、その他学校法人監査などがあります。

 

2) 二者監査

 

二者監査の多くは品質監査です。

ここにおける二者とは、組織自身と取引先を意味します。

二者監査は、取引している製品及びサービスの品質を対象として行われます。

この品質監査は任意ですが、取引先からの要請となると実質的に強制力があります。

 

組織は取引先がどのような目的で監査を要請してきたかをまず理解することが必要です。組織が二者監査を活用するには、監査の目的を理解し目的に合った監査準備をすることが必要です。

 

a)監査の目的を理解する

初めて取引先から監査要請があった場合は、取引先との過去の品質、コスト、納期(Q,C,D)について、どのような問題があったのか、無かったのか、今までの経過を整理します。既に二者監査を受けている場合は、直近の監査の結果を再確認し、まだ解決できずに残っている課題が無いかレビューします。

通常、取引先は監査の目的を伝えてきますが、もし取引先が伝えてこなければ、組織から尋ねるとよいでしょう。次のような目的の範疇のどれかに入ると思います。

 

①具体的問題を解決したい。例えば、最近の受け入れ検査合格率が低い。

②運用状況を確認したい。格別な問題はないが、定例的な活動として実施したい。

③組織の能力を調査したい。例えば、今までより高度な製品発注をしたいが、受け皿として考えられるか確認したい。

 

b)準備する。

監査の目的が分かれば、それに対応した準備をします。

 

①具体的問題を解決したい

取引先が問題であると認識している事柄を明確にし、組織内でその事柄がどのように受け止められてきたのか、あるいは現在どのように受け止められているのか確認をします。そして、取引先の立場、目線で「問題の分析」と「要因の追究」を行います。この際、取引先の期待に応えるためにはどのような活動が必要か、もし期待に沿うことが出来なかったなら取引先との関係が最悪の場合切れてしまうこと、を組織内に周知して対策案をまとめます。なお、もし顧客の期待以上に応えられれば、今後の取引先との関係はより密接にできる可能性があることを伝えると、問題解決へのモチベーションを上げることができます。

 

②運用状況を確認したい

二者監査において一番多い目的です。取引先にもよりますが、毎年監査が行われるとお互いに監査すること、監査を受けることが目的になってしまい、本来の目的を忘れてしまいがちですので、そうならないように注意すべきです。

被監査組織の準備としては次のようなことがあります。

 

a)前回の監査から現時点までの、取引先とのやり取りの履歴をまとめる。

b)該当製品の製造、サービス提供に関するプロセスの最新の状態を見えるようにしておく。見えるようにする手段には、フローチャート、写真、現物、その他文書類などがある。

c)改善の可能性をまとめる。取引先の協力がなければ改善できないことを抜き出しておくと、監査時に取引先に打診することができる。場合によっては、そんなアイディアがあったのかと取引先から評価される可能性もある。

d)改善の可能性を見つけ出すには関係するプロセスを分析するとよい。

・その活動は本当に必要か?活動の目的を問うことから、以前決めたことがもう必要で無いことが発見できる。

・その活動は他の活動と順序を入れ替えた方が効率が良くないか。

・その活動は他のプロセスと重複していないか。

 

取引先が監査に来るという外圧を利用して、組織の改善活動を戦略的に行うことが監査を活用するコツです。

 

③組織の能力を調査したい

組織の能力とは、製品及びサービスを通した価値提供を具現化できる組織的な力を言います。ここでいう「価値提供」とは、顧客に認知されている便益、メリット、うれしさ、感動など、組織が市場に提供できている価値を言います。

組織の能力には次の3種類があります。(東海大学金子雅明)

 

a)価値提供に必要なすべての能力組織が価値提供に成功するに必要な手段、要因に関係する能力全般

b)当該事業領域の特徴などから一般的に導かれる,競争優位要因に関わる能力

組織がその事業領域で優位に立つために持つべき能力

c)ある特定の組織にとって,その事業シナリオの成立に必要な能力その組織の特徴,採用した事業シナリオを考慮して導かれる能力(通常b)の一部の能力及びa)のうち必要条件となる能力)

 

ここでいう「競争優位要因」とは、競争における優位性を確保する組織の能力を言いますが、重要なことは、取引先の狙いに合わせて組織の能力をピーアールできるかです。上述の3種類の能力を可視化した資料を用意しておくとよいと思います。

 

 

3)内部監査

ISO9001には内部監査の要求があり、ISO9001の第三者認証を取得している組織は、監査を受ける前に内部監査を実施しておく必要があります。組織は内部監査のルールを以下のような要素から規定しておかなければなりません。

a)監査プログラム(頻度、方法、責任、計画、報告、プロセス、変更など)

b)監査基準及び監査範囲

c)監査員の力量

d)是正処置

e)監査報告書

 

内部監査は、業務を熟知している内部の人が行うことで、組織の製品、サービス及びシステムを改善することができます。日本ではかって診断とも呼ばれましたが、製品が作られる過程、プロセスをチェックすることで、品質コストを大きく削減することが実践されて来ました。

 

4.どんな視点から監査するのか

組織が監査を上手に活用できるためには、監査する側の姿勢が重要です。監査員の力量に寄るところが大ですが、監査があら探し、重箱の隅つつきにならず、業務推進の重要要素、プロセスの運用管理に焦点が当てられることが望まれます。

そのような監査が行われると、監査員からの指摘は、製品及びサービスの品質確保に必要不可欠な要素、すなわちプロセスの判断基準、パフォーマンス指標、監視・測定などに関することになります。

その様な監査を行うためには、監査員はプロセスに必要不可欠な要素を見分ける能力を持っていなければなりません。

 

監査員は当該プロセスについて、次の理解ができなければなりません。

 

 

①プロセスの目的・機能そのプロセスが、監査の対象となっているマネジメントシステム全体の目的を果たす上で、どのような目的・機能を担っているのか、どのようなサブ機能から構成されるのか、理解しておく必要があります。その視点で、プロセスのアウトプットが、プロセスの目的に合致したものであるかどうか確認する必要があります。

②活動の切り分け方

 

活動の大きさは細か過ぎては不適切です。

あまり細かく活動を分けると、応用のきかない人を育成することになります。逆に、活動の大きさが膨大すぎてもいけません。

スキルのある人が実施している内は大丈夫でしょうが、ひとたび人が交替すると思わぬ問題を引き起こすことがあります。

(以上)

 

(平林良人)

 

 

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