超ISO企業研究会

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Home *TQM9000発展への解説ポイント
  23.内部監査実施のポイント
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TQMの基本的な考え方の一つに、「良い製品は良いプロセスから生まれる」ということがあります。ISO9001で要求している内部監査は、このプロセスの集まりであるシステムが「決められたとおりに動いていて」、「望んでいた効果が得られているか」に目を向けて、もし問題があれば是正処置でこれを「たたく」ために行う活動です。

さて、ここで気をつけなければいけないことは、第一に、「決められたとおりに動いているか」というチェックは「形式的」に行う事も可能で、望んでいた効果とは全く関係無しに結論が出せるということです。そして第二は、仮に、望んでいた効果が得られていても、それが効率的に、言葉を変えて表現すれば、手際よく、最短距離で達成されているか、ということとは場合によっては一致しないということです。


(1) 内部監査では、システムと結果と結びつけ、効率も見つめる

TQMで推奨する内部監査の第一ステップは

[1] 監査対象のプロセスを設定した目的、目標は明確か
[2] プロセスは設定されたとおりに動いているか
[3] その結果、目的、目標(とした指標)は達成されているか
[4] 達成のために「ムダ」なことは含まれていないか

という4つの観点から事実を見つめることです。
例えば、デザインレビューの手順に設計部門だけでなく、生産技術部門や営業部門が参加する事になっているとします。この手順は一体「何のために」設定されたのでしょう。
設計段階で、製造の容易さや生産性、市場での使われ方等を含めてきちんと検討するために二つの部門が参加し、十分に役割を果たしていれば、製造開始時にうまく作れない混乱や、市場ニーズとの食い違いから起きる設計変更の件数は「結果として」少なくなるはずです。逆に、両部門が参加しても立ち上がりの混乱や設計変更件数が参加しない時となんら変わらない状況であれば、参加そのものが「ムダ」かもしれません。場合によっては、目的、目標そのものが明確に定められていないということが明らかになるかもしれません。


(2) 内部監査の目的を使い分ける
定期的な内部監査は上記のとおり、設定されたシステムの遵守状況とその効果、効率を見つめます。みんなが決められたルールを守っていれば「大きなリスク」は避けられるかもしれません。この場合、監査の目的はリスクの回避、又は発見といえます。一方、何らかの思わしくない結果、つまり、不良率や顧客クレームの増加、リピーターの減少などがおきた場合に、その「原因となっていそうな」プロセスを特定して実施する、いわば問題解決を目的とした内部監査も必要となる場合があります。


(3) 監査員に求められるスキル
上記のとおり、内部監査員には、原因となるプロセスやシステムと、結果となる目的、目標(指標)の達成状況を結びつけて見ることができるスキルが求められます。QC7つ道具の「特性要因図」に関する教育訓練はこの点でよい効果をもつといえます。
さらに大切なことは、(1)項で取り上げたように、効率を追求するために改善提案ができることです。ISO9000認証取得活動の過程で不幸にも「重過ぎるシステム」を作ってしまった場合、内部監査員は効果がないシステムを「ムダ」だと指摘する「大胆さ」を持つべきですし、適合状態だからといって良しとせず、常によりよい方向を目指す「細心さ」を持つべきです。このためには前記の特性要因図だけではなく工程フローチャートやQC工程表などの「考え方」を含んだ品質管理全般の教育が効果的です。


(4) 内部監査時の改善提案と報告書
内部監査の手順を設定するに当たって、不適合を発見した場合の報告書式に加えて、監査員が改善提案を行う場合に使用する書式を用意すると便利です。


(5) 是正処置
内部監査で指摘される不適合は典型的に「あるルールが決められたとおり動いていない」という形を取ります。ここでまず大事なことは「だからどうなんだ」という姿勢です。もちろん、監査員の指摘に逆らう事が目的ではありません。ルールそのものが効果や効率という観点で意味を持っていれば、指摘された不適合は何らかの「現実の問題」か「問題発生のリスク」に結びつくはずです。一方、何の意味も見出せなければ、単にシステムを重くして効率を悪くしているだけかもしれません。指摘に対して「素直すぎる」事は、無意味なシステムにさらに屋上屋を重ねる結果になりかねないことに注意してください。
是正処置を検討する場合、それで再発が防げるか、実際に行えるか、手際の良いやり方か、という視点を持つ事も大切です。いくつかの案を作って比較する事が必要な場合もあります。


(6) フォローアップ活動
フォローアップの最大の関心事は是正処置がうまくいっていて、同じ問題が発生していない、ということです。また、それまでの改善提案についても、どのように取り込まれ、結果としてどのような点が良くなったかを確認すると良いでしょう。