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本日から、品質部門配属になりました 第25回 『設計・開発品質の保証:工程設計・生産準備』(その3)   (2020-11-9)

2020.11.09

4.工程解析   

①工程解析とは

前項「3.工程設計」の⑤で、工程ごとの管理項目と方法を決定することが、「工程で品質を作り込むこと」の肝であると言い、その説明を「工程解析」に振りました。工程解析とはなにか、まずはその定義を明確にしましょう。工程解析とは、「工程において作り込むべき品質特性とそれに影響を与える要因との間の関係を把握すること」です。

A社では、これがどんなときに実施されるのかというと、基本的には、「新しく製造工程を設計するとき」です。これを具体的に実施する手順は、関連する社内規定には、次のように書かれて、実施しています。

・製造工程を(大きく)変更するとき

・市場クレームの技術的原因が製造方法にあるとき

・製造工程内に(大きな)品質トラブルが発生したとき

しかしながら、これらは嫌でも実施しなければならないときであって、中山さんは、もっと積極的にこれを行っていかなければならないと思い、次の2項目も追加しました。

・品質パトロールや、品質会議などで指摘を受けたとき

・管理項目が管理限界を超える原因が不明であるとき

そして、工程解析が実際にはどんな情報やデータが活用されているかというと、a)日常の

工程管理データを改めて引っ張り出して、この傾向を分析してみることや、b)新たに要因を実験として振ってみてデータを取ってその影響を分析してみることや、c)その実験データを操業しながら取るような方法を、その時々の状況に応じて決めて実施しています。

中山さんは、このやり方を、次項で述べるように、もう少し原点に戻って検討してみました。
 
②工程解析の手法

A社では、現場の人たちが自主的に改善に参加する「小集団活動」を導入しています。そして、この人たちに最初に教えるのが「PDCAサイクル」であり、これを問題解決に当てはめた「QCストーリー」です。そして、次に教えるのは、「QC7つ道具」であり、さらには「新QC7つ道具」です。

生産技術の技術者は、この手法は、現場の人たち向けの、あるいは初心者向けの手法と勘違いしている人が多いようでした。そんなことを思わせるように、工程解析というと、いきなりやたら難しそうな技術的な解析データが出てきて、技術論を展開したり、高度な統計手法を振り回したりすることもしばしばありました。QCストーリーで展開しないために、話が行ったり来たりすることもしばしばありました。

中山さんは、品質に関連する会議体での報告には、QCストーリーで、それぞれのステップを明確にして報告するように、根気よく働きかけることにしました。

そうはいいながらも、やはり技術者、使わなければならない所は高度な統計手法を活用しなければなりません。幸いなことに、コンピュータの急速な進歩により、昔は電卓片手に1ヶ月かけて行った重回帰分析も、いまでは瞬時に計算をしてくれます。統計的な解析手法を習得して、これを使えば鬼に金棒です。

ところが、コンピュータにデータを入力すれば、余りにも容易にその計算結果を出してくれるので、その計算過程を理解せずに使うために、なかなか使い切れない例も多いようです。技術者にコンピュータの利用を含む、統計手法をしっかりと習得するための教育を企画することにしました。
 
③工程能力、工程能力指数

工程解析の目的は、工程ごとの管理項目と管理方法の決定です。そして、その管理を適切に行うためには、適切な許容範囲が示されなければ、管理はできません。この許容範囲を設定するための基本が工程能力の把握です。

工程能力の指標である工程能力指数(Cp、Cpk)は、規格値の巾と、特性のばらつきの大きさ(標準偏差を使用)の比率で表されます。規格の巾に対して、量産時のばらつきの方が大きければ、不良が出るのは当たり前であり、量産化の前にこれを解決しておけないときには、全数検査とかの処置を取らざるを得ません。放置すると、顧客への虚偽報告という品質不祥事にもつながりかねません。

中山さんは、工程能力指数の重要さを再認識させ、管理基準を設定することへの活用を働きかけ、新しい機能部品を使用するときは、原則として必ず工程能力指数を出して、その工程の能力を定量的に評価するようにしました。また、工程能力が不足しているときは、工程の改善をすることはむろんのこと、規格側の根拠を顧客とよくコミュニケーションを取って、適切な規格を設定することも、品質部門の重要な仕事と認識し、その努力を惜しまないようにしました。

 

「設計・開発の品質保証:工程設計・生産準備」のお話、だいぶ長くなってしまいました。次回、第4回目は、いよいよ最後の「工程管理計画」です。

(丸山 昇)

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