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概念編 第9回 自社の特徴の能力化(2015-07-20)

2015.07.17

 

 

前回は,自社特有の特徴にどのようなものがあるかを解説しました.

また,宿題としてあなた自身の会社組織の特徴を挙げてください,とお願いいたしました.

皆さまはどのような特徴が挙がってきたでしょうか?

 

 

今回は,これら挙げて頂いた特徴を競争優位要因にどう活かすかについてお話ししたいと思います.

 

 

まず,あなたの会社の競争優位要因だと思われる組織能力と,今回挙げて頂いた自社の特徴リストの両方を並べて,しばらく眺めてみてください.

 

その上で,

 

 

Question 1:自社の特徴のうち,どれが競争優位要因に関連しているでしょうか?

 

 

という質問に回答してみてください.

 

 

 

どうでしょうか.通常であれば,競争優位要因に関連している自社の特徴がいくつか(3,4個程度)は挙がってくるかと思います.

 

 

 

 

Question 2:では,関連している自社の特徴を競争優位要因に活かすような取り組みを日頃から進めていますか? そのような仕掛け・仕組みはありますか?

 

 

多くの会社では一部の自社の特徴については何らかの取り組みを無意識的に既にやっています.この“無意識的に”やっていることを会社全体として“意識的に”やるようにするだけでも,自社の競争優位要因が大きく強化されることになります.

 

そして,それを支える基盤として会社内の仕掛け・仕組み,すなわちQMSが構築されればそれこそより大きな効果が得られることになるでしょう.

 

 

 

このように,自社の特徴を100%余すことなく競争優位となる組織能力の発揮のために活かすことを

 

“自社の特徴の能力化”

 

と言います.

 

 

 

逆に言えば,自社の特徴のうち,まだ十分に活かしていない特徴があるとすれば,それは自社の競争優位要因をさらに高められる余地が残っている,ということです.

 

“日本の会社は総じて高い技術はあるが,ビジネスが下手だ”と評されることがたびたびありますが,このひとつの原因は,自社の特徴を十分に理解できなかったり,その特徴を市場における競争優位確立のために活かすような,積極的かつ体系的な活動が少ないからではないでしょうか.

 

“自社の特徴の能力化”という言葉には,我々のこのような問題意識を反映しています.

 

 

 

また,Question 1への回答において,競争優位要因に関連していないと判断された自社の特徴もいくつかは残っているかと思います.すべての自社の特徴が必ずしも今の競争優位要因に活かされていないとダメだというわけではありませんが,できる限り活かせるようにすればするほど,競争優位要因は強化されます.

 

その意味で,

 

 

Question 3:今活かしていない自社の特徴のうち,自社の競争優位要因に活かせそうなものは本当にないか?

 

 

という質問も良くします.もしこのような特徴を見つけることができれば,競合が模倣しようにもできない確固たる競争優位要因を確立できることになります.

 

 

 

以上の話をまとめると,“自社の特徴の能力化”とは,

 

 

 

  • まだ十分に活かしきれていない自社の特徴を100%競争優位要因に活かす

 

  • まったく活かしていなかった自社の特徴を新たに競争優位要因に活かす

 

 

 

の2点があることをご理解いただけるでしょう.

 

 

ここまで話を進めると,では十分な特徴をまだ持っていない会社はどうすればいいんだ,と疑問を抱く方がいるかもしれません.

しかし,どの会社の特徴もいきなりどこからともなく急に現れたものではなく,長い時を経て形作られ継承されてきたものであると考えれば,現時点でまだ十分なレベルに達していなくても,それらをより大きく,充実したものに育てることが可能です.

しかし,これには少し時間がかかります.

 

 

したがって,

 

“将来的に,この○○の特徴をより大きく立派なものに育てて,□□の競争優位要因の発揮に活かすことができれば,このような市場・競争環境できっと成功できるはずだ”

 

という考え・構想をあらかじめ描き,日頃から自社の特徴を磨いておく必要があるのです.

 

 

 

このような考え・構想のことを,事業を成功に導く道筋・筋書という意味で

 

“事業シナリオ”

 

と呼んでいます.

 

 

次回からは,“自社の特徴の能力化”に大きく関係している“事業シナリオ”をどう描くかの話題に移りたいと思います.

 

実は,“事業シナリオ”を描くには,これまでお話をしてきた顧客価値,組織能力(競争優位要因),自社の特徴の知識を総動員する必要があるのです.

 

(金子雅明)

 

 

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