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概念編 第8回 競争優位となる組織能力の源泉(2015-07-13)

2015.07.13

 

 

前回まで組織能力のお話をしました.そして,お客様に選んでいただくためには競争優位となる組織能力,すなわち競争優位要因を特定することが重要であることも言いました.前回事例で挙げたA社では,

 

 

(1) “緊急(飛び込み)注文へのスピーディな対応力”

 

(2) “新規顧客開拓に必要な業界水準レベルの営業力”

 

 

の2つでした.

 

とりわけ(1)の組織能力が,老舗企業でリーダー格のB社に対抗するために必要な能力でした.

 

 

Question 1:では,例えばB社がA社と同様な勝ち方・勝負の仕方をして(1)の組織能力レベルを上げようとしてきたら,どうなりますでしょうか?

 

もし,B社がA社よりも(1)の組織能力をより発揮できるようになれば,当然それはもうA社にとっての競争優位要因ではなくなります.しかし,B社が真似しようとしても結局はうまく行かずA社のように(1)の組織能力を発揮できなければ,A社にとっては(1)の組織能力は競争優位要因のままになります.

 

このように,競争優位要因を獲得し維持するためには,他社ではうまくできず,自社だからこそうまくその組織能力を高められるという根拠・自信が必要です.

 

超ISO研究会では,その根拠・自信の源泉は“企業・組織固有の特徴”から来ていると捉えています.

 

 

私たち自身を考えると良く分かりますが,性格や嗜好,好き嫌い,得手不得手などは個人の特徴を表しています.

そのような自分個人の特徴を踏まえて将来就きたい仕事を選んだりしていますし,食事や旅行などのその他の多くの生活場面でも無意識的にそのように考えて意思決定していることが多いはずです.

 

このようなことを企業・組織の単位で意識的に考えたい,ということです.

 

 

言い換えれば,自社固有の特徴が何であるかを認識した上で,それを活かす競争優位要因にしたいのです.そうすれば,他社よりも自社の方がきっとうまく行く!という明確な根拠・自信を持って,自社の競争優位要因を高めることに集中できます.

 

そのためには,

 

 

 

Question 2:“他社ではない自社だからこそのキラリと光るモノ”は何でしょうか?

 

という質問にまず答えなければなりません.

 

自分自身のことなので,そう言われてもなかなか思いつきにくいかもしれませんが,この点をちゃんと認識しておく必要があります.

 

 

最初に思いつきやすいのは,“特許”でしょうか.

事業のコア技術特許を保有することが競争力の源泉となることは多いです.

ただ,これだけではありません.

 

特許にはしていないが,組織内に蓄積された“固有技術”もそうです.

そういった技術を習得し,実践している従業員は,会社にとってとても大切な“人材(人財)”です.

 

このような目に見えないものだけでなく,非常に加工精度やスピードに優れた“設備・機器”を多く有していることも競争の源泉,すなわち自社固有の特徴となることがあります.

導入しているITによる業務管理システム・情報システムも候補になることがあります.

 

自社の成り立ちや立地場所はどうでしょうか.

創業時から脈々と受け継がれた企業風土,価値観なども当然自社独自の特徴になるでしょう.

 

さらに,良好な財務状況もそうです.

財務状況がよいと他社に比べて将来への投資を積極的に行えますし,会社自体の格付けも良くなって資金調達の条件も有利に働きます.

 

 

組織の外に目を向けると,どうでしょうか.

 

有能な部品供給者を有していることや,それら会社との良好な信頼関係が日頃の業務を円滑にしている秘訣かもしれません.

商社,運送会社,販売代理店などの充実した販売チャネルがあることが競争の決め手だったりすることもあります.

 

さらに言えば,主要顧客との太いパイプを既に持っていることや,これまで自社が築いてきた自社製品に対する顧客の認知力の高さ,ブランド力も競争上有利に活用できる特徴だと思います.

 

 

以上のことを少しきれいにまとめてみますと,

 

■ 組織内部の特徴

  ・フロー型経営リソース

    労働量,原材料,設備,資金・財務

  ・ストック型経営リソース

    固有技術,人の能力・スキル,従業員との良好な関係

  ・企業風土,文化,価値観

    愚直で誠実な従業員,自由に意見を言える風土,挑戦的な課題・変化に積極に挑む

風土 など

  ・マネジメントシステム(仕組み)そのもの

    生産システム異常発見システム,人材育成の仕組み,体系的な設計レビュー方法,

原価企画・管理システム など

 

 

■組織外部との関係性に関わる特徴

  ・パートナーとの関係

    部品供給者,技術開発支援者,販売代理店・商社,国・地方行政との信頼関係

  ・顧客との関係

    コア顧客との太いパイブ,良い評判,ブランド力

 

のように整理することができます.これらを参考にして,是非ご自身の会社組織の特徴を考えてみてください.これが今回の宿題となります.

 

 

次回は,これら挙げて頂いた特徴と競争優位要因の関係についてもう少し詳しくお話ししたいと思います.

(金子雅明)

 

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